iPhoneよりも高価な低スペック携帯電話「Light Phone III」を試してみた(海外)
機能をシンプルにした携帯電話「Light Phone III」が、現在599ドル(約9万円)の割引価格で予約注文できる。この端末は、通話やメッセージ送信といった基本機能に特化しており、SNSアプリは搭載していない。だが最新機種には、「ノスタルジックな雰囲気」の写真が撮れるカメラ機能が追加された。その価格は最新のiPhoneに匹敵する。 「Light Phone III」は、「少ない方が豊かである」という考え方に徹した電話だ。 【全画像をみる】iPhoneよりも高価な低スペック携帯電話「Light Phone III」を試してみた この携帯電話には新たにカメラが搭載されたが、それでもユーザーは「より少ない機能」に対して「より高い価格」を支払うことになる。 このような電話は、「間抜けな」という意味を込めて「ダムフォン」と呼ばれている。ウェブブラウザやSNSアプリといったスマートフォンの多機能性を排除し、通話やメッセージ送信など基本的な機能に特化したシンプルな設計を特徴としている。 世界は今まさにAI(人工知能)が主導する技術革命が進行する状況を目の当たりにしているところだが、スマホの明るい画面をスクロールし続けることから解放されたい人も多い。 1月には、アマゾン(Amazon)の最高技術責任者(CTO)を務めるワーナー・ヴォーゲルス(Werner Vogels)が「2025年はAIの普及に伴い、テクノロジーをより意識的に使うことが重視される年になる」と予測した。 インスタグラム(Instagram)をやめたいのなら、100ドル以下の折りたたみ式携帯電話を買えばいい話だが、Light Phone IIIは予約注文の割引価格で599ドル(約9万円)であり、販売価格は799ドル(約12万円)になると見込まれている。なお、最新のiPhoneは599ドルから購入できる。 Light Phone IIIが前機種の「Light Phone II」から大きく変わった点は、価格の大幅な上昇のほか、前面および背面にカメラが追加された点だ。新型モデルを発表したアップル(Apple)とサムスン(Samsung)が、カメラ機能を大々的にアピールしていることからも、カメラは依然としてスマホユーザーにとって重要な要素であることがうかがえる。 「Light Phone」 シリーズを開発したLightの共同創業者であるジョー・ホリヤー(Joe Hollier)に、筆者が今年1月に話を聞いたところ、彼はiPhoneと競争するためにLight Phone 3のカメラを開発したわけではないと語っていた。むしろ、フィルム写真にインスパアされたものであり、「ノスタルジックな雰囲気」の写真を撮ることを目指したのだという。 そこで、Light Phone IIIでセルフィーやペットの写真を撮ってみることにした。なお、撮った写真はiPhoneに送信し、本稿に掲載した。 私と愛犬を撮影した写真には、確かにノスタルジックな雰囲気が表れており、Light Phoneで見るとフィルムカメラのような美しい質感があった。だが、それらをiPhone 14 Pro Maxに送ると画質が低下したように感じられた。特に、前面のセルフィーカメラで撮影した写真ではその傾向が顕著だった。 なお、写真をテキストメッセージで送信できる機能は、3月24日のLightOSのアップデートで導入されたばかりであり、まだ数日しか経っていない点は考慮すべきだろう。背面カメラで撮影した写真では、画質の変化はそれほど目立たず、Lightが公開したプレス写真で見られたノスタルジックな雰囲気もより保たれていた。 ハードウェアの変更点としては、他にもボタンの増加がある。かなり増えたように感じられる。また、NFC(近距離無線通信)チップが搭載され、いずれはデジタルウォレット対応が可能になると見込まれている。 Light Phone IIIには合計6つのボタンがある。そのうちのひとつは、明るさを調整するダイヤルで、懐中電灯のスイッチにもなっている。また、最新のiPhoneと同様に、カメラを起動し撮影する専用ボタンもある。
Jordan Hart