もはや異次元。エグいほどズームできるスマホ「Pura 80 Ultra」をライバルと比べる
スマホカメラ、スペック競争に新たな衝撃。
5000万画素は当たり前のメインカメラ、追随するように高性能化する超広角カメラ。でも、スマホカメラの「望遠」って、いまだにちょっと微妙じゃありません?
そんな発展途上領域に踏み込んできたのが、HUAWEI(ファーウェイ)の最新スマホ、「HUAWEI Pura 80 Ultra」です。
HUAWEIの招待で、バンコクでの発表会で実機を触ってきましたので、カメラ性能のレポートをおとどけします。
驚きの光学9.4倍ズームで、遠くの被写体をくっきり写す
左から「HUAWEI Pura 80 Ultra」、「HUAWEI Pura 80 Pro」、「HUAWEI Pura 80」。HUAWEIは先日、アジア太平洋地域市場向けに、「HUAWEI Pura 80」シリーズを発表しました。
登場したのは、上位モデルから順に「HUAWEI Pura 80 Ultra」、「HUAWEI Pura 80 Pro」、「HUAWEI Pura 80」。その中でもUltraは、ぶっちぎりの強々端末です。
HUAWEI Pura 80 Ultraの10倍ズームで撮影。iPhone 16 Proの10倍ズームで撮影。どうです? この違い。眼前遥か彼方の建物を、10倍ズーム / オート撮影 / 加工なし、の同条件で撮り比べてみました。
「遠く離れたビルの窓まで、くっきり見える」。驚きですよね。
これを実現しているのが、Pura 80 Ultraの、脅威の「光学9.4倍ズーム」です。
レンズで被写体を拡大し、画質の劣化をほとんど起こさない光学ズーム。光学9.4倍ほどの焦点距離を持つスマホは、現在流通しているものの中で最高クラスです。
HUAWEI Pura 80 Ultra。iPhone 16 ProやGoogle Pixel 9 Proは光学5倍、Xperia 1 VIでも光学7.1倍、Galaxy S25 Ultraは光学相当10倍ズームを搭載していますが、これは本当の光学10倍レンズではなく、補正を使った擬似的なもの。
搭載倍率以上にズームすると、デジタル処理に頼るため画質が落ちてしまいます。
業界最大級のセンサーが画質を下支え
さらに、1250万画素による撮影と、業界最大級の1/1.28インチセンサーが画質を支えます。
大きなセンサーはより多くの光を集めることができ、暗所や遠距離の被写体も鮮明に描き出せるのです。
1つの望遠カメラで2つの焦点距離を
タイ、バンコクで行われたHuaweiの発表会の様子。切り替え式のデュアル望遠カメラが強調された。さらにこの望遠カメラ、光学3.7倍と、光学9.4倍の2つの焦点距離で撮影できるんです。
光学3.7倍なら中距離の被写体を自然に、9.4倍なら遠くの被写体を大きく鮮明に。シーンに合わせて、1つのカメラで2つの役割をこなします。
これが、業界初の機構、レンズ切り替え式のデュアル望遠カメラです。
(ちなみに焦点距離を切り替える望遠カメラ自体は、ソニーのXperiaなどがズーム方式で実現しています)
Pura 80 Ultraの望遠カメラには、「ペリスコープ方式」が採用されています。光を横方向に曲げてセンサーへ導くことで、スマホの薄いボディでも長い焦点距離を実現できる技術ですね。それがさらに進化したのが今回です。
プリズムがスライドして2つの焦点距離を切り替える様子。 Image: Huawei普通だったら、2つの倍率それぞれにセンサーが必要です。しかしPura 80 Ultraでは、光を曲げる部品「プリズム」をスライドさせることで焦点距離を切り替えることができ、1つの大型センサーで2つのレンズをカバーしているのです。 スマホという限られたスペースで、ここまでの望遠性能を実現したのは画期的。
望遠レンズに見える、2つのレンズの前玉。焦点距離を切り替えると、遮光版が動き、使っていない方に入る光を遮断する。ちなみに、光学3.7倍時には5000万画素、光学9.4倍時には1250万画素で撮影でき、デジタルズームも組み合わせれば100倍まで対応しているそうです。
HUAWEI Pura 80 Ultraの10倍ズームで撮影している様子。実際に使ってみると、望遠撮影がとにかく楽しい! 遠い被写体を綺麗に写せることも感動ですが、10倍ズームもしているのに、人の顔を瞬時にかつ的確に認識していたのには驚きました。使いやすさもグッドです。
ズームも強いGalaxy S25 Ultraと比べてみた
人気スマホの中でもズーム性能に優れるGalaxy S25 Ultraとも比較してみました。
HUAWEI Pura 80 Ultraの10倍ズームで撮影。Galaxy S25 Ultraの10倍ズームで撮影。10倍ズームで比べると、Pura 80 Ultraの方がエッジが鮮明なのがわかります。Galaxyでは、ブレも気になります。曇りの天候の中、Pura 80 Ultraの方がしっかりと色を捉えているのもわかりますね。
HUAWEI Pura 80 Ultraの25倍ズームで撮影。Galaxy S25 Ultraの25倍ズームで撮影。25倍では、いよいよ違いが鮮明に。双方デジタルズーム感はみてとれますが。光学5倍から25倍まで引き延ばすGalaxyに比べて、光学9.4倍から25倍に引き延ばすPura 80 Ultraでは、デジタルズームに頼る倍率が少ない分、画質に余裕がありますね。
HUAWEI Pura 80 Ultraの60倍ズームで撮影。Galaxy S25 Ultraの60倍ズームで撮影。思い切って60倍も試してみました。補正感は強くなりますが、Pura 80 Ultraのほうがディテールは残っています。
日本発売なしが悲しいけれど、スマホカメラは異次元の望遠競争の時代へ?
現代のスマホなら、目の前のものを超絶綺麗に撮影できて当たり前。でもどうでしょう、一歩外に出れば、街中で見つけた遠くの虹、ライブ会場でステージに立つ大好きなアーティストの顔など、望遠で撮りたいシチュエーションもたくさんあるはずです。HUAWEIはひと足先に、さらなるスマホ撮影の喜びに踏み込みました。
Pura 80 Ultraの価格は、発表が行われたタイの価格で4万9990バーツ(約22万8000円)です。ただ残念なことに、日本での発売は発表されていません。
しかし、業界的には衝撃的なスマホであることは間違いなし。望遠レンズ競争はさらに激化していきそうです。
Photo: 小野寺しんいち, Source: Huawei