アングル:金価格、今後数週間でさらに最高値更新の可能性
[2日 ロイター] - 金のスポット価格はこのところ、米利下への期待や米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る懸念、投資家や中央銀行からの強い需要をきっかけに急騰している。2日の1700GMTに1オンス=3527.5ドルの過去最高値を付けたが、今後数週間でさらに最高値を更新する公算が大きい。
アナリストは短期から中期にかけて3600―3900ドルのレンジでの推移を予想しており、経済や地政学の面で不確実性な状況が続けば来年4000ドルを試す可能性があるとみている。
Gold record high金は年初来で34%余り上昇し、アナリストは2025年の平均価格見通しを1月時点の2756ドルから4月には3065ドルに、さらに7月には3220ドルへと段階的に引き上げてきたことがロイターの調査から分かる。
Global Gold demand by sectorパウエルFRB議長が雇用リスクの高まりを認めたことで、金融市場ではFRBが9月に利下げに踏み切るとの見方が広まっている。
Target rate probabilities for the Fedアクティブトレーズのシニアアナリスト、リカルド・エヴァンジェリスタ氏は「金を支えているのは、FRBの利下げへの期待を背景としたドル安の見通しと、米資産から距離を置く投資家、そして関税に関連する景気の先行き不透明感だ」と指摘した。
ドルはトランプ氏が1月に米大統領に返り咲いて以来、11%近く下落。ドル安により、ドル以外の通貨の保有者にとってドル建てである金の価格は割安になっている。
一方、トランプ氏によるFRBのパウエル議長批判やクック理事の解任といった動きでFRBの独立性への懸念が高まり、金の買いが一段と勢いを増した。
ジュリアス・ベアーのアナリスト、カーステン・メンケ氏は「最も強気の不確定要因は(中略)FRBへの潜在的な干渉と、ドルが安全資産としての地位を維持できるかという懸念だ」と述べた。
このほか金の魅力を強めている要因には、中東情勢やウクライナ戦に起因する安全保障上の懸念、そして新興国を中心とする中銀の金需要が挙げられる。例えば中国人民銀行(中央銀行)は7月に9カ月連続で金準備を積み増した。
China's PBOC adds gold reserves for 9th straight monthワールド・ゴールド・カウンシル(WGG)のデータによると、中銀は今後5年間で金の保有比率を引き上げる一方、ドル準備を減らす計画だ。
ドイツ銀行の貴金属アナリスト、マイケル・シュエ氏は「金価格の上昇に中銀による金準備の積み増しが重なり、一部の中銀は準備に占める金の比率が急激に上昇している」と述べた。
金を裏付けとする上場投資信託(ETF)にも大量に資金が流入している。世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・トラスト」は金の保有量が977.68トンと年初来で12%増加し、2022年8月以来の高水準に達したと明らかにした。
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