アトランタ連銀総裁、年内利下げ1回が妥当-物価・雇用次第で変更も

Jonnelle Marte

  • 金利は「やや景気抑制的」、2大責務に対するリスクはより均衡
  • 労働市場が悪化しつつあるとの見方には懐疑的な姿勢示す

米アトランタ連銀のボスティック総裁は、年内の利下げは1回が妥当との見解を改めて示した。ただし、インフレや労働市場の動向次第で変わる可能性もあると述べた。

  総裁は3日午前に公表した小論文で、「物価安定が依然として最大の関心事項ではあるものの、労働市場は十分減速しており、年内残りの期間において恐らく25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の政策緩和が妥当になると考えられる」と記述。その上で、「今後数カ月のインフレ動向や雇用市場の展開によっては、この認識は変わり得る」と続けた。

  小論文でボスティック氏は、金利はなお「やや景気抑制的」な水準にあると指摘。労働市場が軟化する中で物価と雇用に関する2大責務に対するリスクはより均衡が取れてきているとしながらも、労働市場が悪化しつつあるとの見方には懐疑的な姿勢を示した。

  ボスティック氏は、「労働市場がわれわれの責務に照らして著しく軟化していると、疑いの余地がないほど明確だとは考えていない」とし、労働力の供給が減少する中、失業率は比較的安定を維持していると指摘。それにより、失業率の安定維持に必要な月間雇用者数の増加幅は縮小している可能性があると記した。

  5日には8月の米雇用統計が発表され、、政策当局者らは労働市場に関する最新の情報を得ることになる。また来週には8月の米消費者物価指数(CPI)も発表される。

  またボスティック総裁は3日午前、記者団に対し、労働市場の顕著な軟化がデータで示された場合は、利下げ時期を前倒しすることにもオープンだと発言。労働市場の強さを判断するため、雇用者数の伸びや賃金などの指標を注視していくと述べた。

  インフレについては、関税による物価への影響が持続的なものになる可能性を依然として懸念していると述べた。

  小論文でボスティック氏は、「関税が消費者物価に与える影響はすぐには弱まらず、実際のところ数カ月は完全な形で表れることはないと、今も考えている」とし、「期待が抑制され続け、インフレが再燃しないと安易に想定するつもりはない」と記した。

原題:Fed’s Bostic Says One Rate Cut Is Still Appropriate for 2025(抜粋)

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