ウォール街のショック耐性が驚異的なレベルに、混乱乗り越え強さ増す
ウォール街のショック耐性が驚異的なレベルに達している。インフレ懸念や関税のショック、中東での紛争といった材料をこなし、今や投資家を動揺させ得る要因を想像するほうが難しくなってきた。
投機的な機運は今週も強まった。トランプ米大統領がカナダに35%の関税、銅に50%の関税を課すと表明した中でもビットコインは11万8000ドルを突破し、債券相場のボラティリティ-(変動性)は収まり、株式相場は高値圏を維持した。個人投資家は再びリスクの高い取引に乗り出している。
一連の動きが示すのは、脅威に直面しながら強さを増してきた投資家の耐性だ。米国がもたらしてきた貿易摩擦が再び強まる兆しさえ重要視されず、強気な姿勢が広がっている。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)はこうしたマーケット状況について、リスクを軽視していると警鐘を鳴らしているが、暗号資産(仮想通貨)やハイテク株、レバレッジ型上場投資信託(ETF)、コモディティーなどで利益を上げている市場参加者には正しさの証明のように映る。
HSBCのチーフ・マルチアセット・ストラテジスト、マックス・ケトナー氏は「リスク資産の最近の強気な値動きは合理的だと確信している」と指摘。今や株式だけでなくほぼ全てのリスク資産に広がり、投資家は十分にリスクを取っておらず、上昇相場にあらがっているような状況にあると言えるだろうと話した。
過去の市場のストレスを予兆した指標が再び上昇しているにもかかわらず、市場関係者は動じなくなっている。
ブルームバーグが追跡する世界の貿易政策の不確実性を示す指数が上昇している。同様の動きは、4月の世界的な相場急落の数カ月前にも見られた。
11日の米株式市場ではS&P500種株価指数が最高値をやや下回る水準で終了。米社債のリスクプレミアムの指標は今年の最低水準近くで推移した。ビットコイン上場投資信託(ETF)への資金流入も続いている。米国債のボラティリティーを示す指標は約3年半ぶりの水準に低下した。
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JPモルガンのダイモン氏は、関税を巡って欧州連合(EU)と米国が合意に達する必要があると指摘し、米連邦準備制度による利上げの可能性は市場で一般的に考えられているよりもはるかに大きいとも述べた。
原題:Battle-Hardened Wall Street Bulls Are Proving Very Hard to Scare(抜粋)