2025年7月18日の火星の風景:静止画なのに風を感じさせる1枚
(引用元:NASA)
火星にも風は吹いている
アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開している「Mars Perseverance Raw Images」では、火星探査車「Perseverance」が撮影したRAW画像を日々更新しています。今回ご紹介するのは、Perseveranceのミッション第231週にあたる2025年7月18日に、マストにある右のMastcam-Zで撮影された1枚です。
※…2025年7月18日はPerseveranceのミッション1568ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。
今回の画像は、まるで画面から風が吹き抜けてくるような質感が印象的です。
所々に見られる縞模様は、火星の風が運ぶ砂粒が跳躍を繰り返すことで形成した砂紋(リップル)です。一定のリズムで刻まれた模様は、現在に至るまで一定方向から風が吹いていた証拠といえます。火星は大気が非常に薄いものの、昼間には秒速5〜7m、突風時には秒速20mを超える風が観測されています。
ひとことコメント
普段紹介している静かな火星の風景とは異なり、静止画なのに「風が吹いている」ことを感じさせる1枚でした。
火星探査車Perseveranceとは
Perseveranceは、NASAが2020年に火星に送った探査車で、火星の地質や気候の調査、古代生命の痕跡の探索、将来の有人火星探査に向けた技術実証を目的としています。
【▲ 火星探査車Perseveranceに搭載されている観測装置の位置を示した図。Mastcam-ZとSuperCamはどちらもPerseveranceのマスト、通称“ヘッド(頭)”と呼ばれる部分に搭載されている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】Mastcam-Zについて
Mastcam-Zは、Perseveranceのマストに搭載されている2つのカメラシステムで、主に火星の地形や岩石を立体的に撮影することができます。2012年8月に火星に着陸した火星探査車「Curiosity」に搭載されたMastcamから改良が加えられており、Mastcam-Zは最大4倍のズームが可能となっています。
なお、NASAによるとMastcam-Zの「Z」は、Zoomを意味するものだといいます。
【▲ 火星探査車Perseveranceのマスト部分の拡大画像。Mastcam-ZとSuperCamの設置場所がわかる(Credit: NASA/JPL-Caltech)】編集/sorae編集部