鴻海の1-3月売上高は24%増、データセンターブームが追い風
台湾の鴻海精密工業の1-3月(第1四半期)売上高は2022年以来の高い伸びとなった。堅調なデータセンター需要が寄与した。米トランプ政権の関税による懸念が高まる中、人工知能(AI)分野にとって明るい兆しとなった。
鴻海はエヌビディアのAIサーバーやアップルの「iPhone」のサプライヤー。アルファベットやアマゾン・ドット・コムなどによるAIコンピューティングを支援するサーバーの需要拡大の波に乗っている。
5日の発表によると、1-3月期の売上高は24.2%増の1兆6400億台湾ドル(約7兆3100億円)とアナリスト予想と一致。クラウドおよびネットワーキング製品部門が4-6月(第2四半期)も成長の勢いを維持するとの見通しを示した。
ただ鴻海は、「現時点の見通しに基づく」と全体の売上高は伸びると予想しているものの、世界の政治・経済情勢の変化による影響を注視する必要があると指摘した。
中国のスタートアップ企業、DeepSeek(ディープシーク)の低価格AIモデルの登場は、価格競争の激化や、数十億ドル規模のデータセンター投資計画の経済的持続可能性に対する疑念を生んでいる。また、トランプ大統領が2日発表した関税によって、世界経済が鈍化するとの懸念も強まっている。
AI分野においても弱含みの兆候が見られる。マイクロソフトは世界各地でデータセンタープロジェクトを縮小しており、事情に詳しい複数の関係者によれば、インドネシアや英国、オーストラリアのほか、米イリノイ、ノースダコタ、ウィスコンシン各州でプロジェクトの検討を停止したり、開発を延期したりしている。
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鴻海は、中国の大規模生産拠点やベトナムの工場などから世界各地に電子機器を供給しており、トランプ政権の関税で直接的な打撃を受けることになる。
クレジットサイツのアナリスト、ジョーダン・チャルフィン、アンディ・リー、マイケル・ピューの3氏は投資家向けのリポートで、こうした関税はアップルのスマートフォン事業にとって特に痛手になると指摘。同社は中国への依存度が高く、ベトナムやインドへの生産移転の取り組みも限定的な効果しか持たないという。
鴻海の劉揚偉会長は先月、米国の複数の州で生産を拡大する方法を検討していると明らかにした。
原題:Nvidia Partner Hon Hai’s Sales Jump 24% on Data Center Boom (1)(抜粋)