トランプ氏のAI・仮想通貨顧問、デジタル関連資産300億円余り売却
- デービッド・サックス氏、AI・仮想通貨についてトランプ氏に助言
- トランプ政権の富豪上位12人の純資産、合計4000億ドル近い
トランプ米大統領に人工知能(AI)・暗号資産(仮想通貨)について助言するデービッド・サックス氏と同氏のベンチャーキャピタル企業クラフト・ベンチャーズは、デジタル資産業界に関連する保有資産2億ドル(約300億円)余りを売却した。
ホワイトハウスの法務顧問デービッド・ウォリントン氏が開示した5日付の文書によると、サックス氏とクラフトはトランプ大統領就任前にビットコインやイーサリアム、ソラナといった流動性のある仮想通貨の持ち分全てを売った。
また、サックス氏は米最大の仮想通貨交換業者コンベース・グローバルと株取引アプリ運営のロビンフッド・マーケッツの株式を手放したほか、仮想通貨ファンドのマルチコイン・キャピタルとブロックチェーン・キャピタルの有限責任組合員としての持ち分を処分した。
クラフトは、マルチコインとビットワイズ・アセット・マネジメントの保有分を売却。売却額2億ドル余りのうち少なくとも8500万ドルは直接的にサックス氏に帰属していたと文書には記載されている。サックス氏のような特別政府職員にはキャピタルゲイン課税の繰り延べが認められていないため、売却は「多大な税負担」を伴うという。
今回の開示は、トランプ氏のAI・仮想通貨に関する特別顧問を務めるに当たり、利益相反規定の適用除外をサックス氏に認める内容の文書を通じ行われた。
サックス氏は大統領のデジタル資産市場に関する作業部会のトップにも起用され、トランプ政権で影響力のある地位を確保した超富裕層の一員となった。トランプ氏が政権入りさせた富豪で最も裕福な上位12人の純資産を合計すると4000億ドル近くに達する。
トランプ氏は1期目の政権で仮想通貨を批判していたが、昨年の選挙活動中に熱心な支持者となり、政権発足後最初の2カ月で、デジタル資産業界にすでに幾つかの成果をもたらしている。
ホワイトハウスで今月開催された仮想通貨サミットには業界の大物20人余りが出席し、トランプ氏はビットコインなどデジタル資産の戦略的備蓄を求める大統領令に署名した。
米証券取引委員会(SEC)はトランプ氏の大統領就任時にゲンスラー前委員長が辞任して以来、仮想通貨企業に対する12件ほどの法的措置申し立てを退けている。
原題:Trump Crypto Czar Sacks Sells Over $200 Million in Investments (抜粋)