損保3社、政策株1兆6400億円を売却-東京海上HDは目標を再度増額

大手損害保険会社3社の2024年10ー12月期(第3四半期)決算が14日、出そろった。同期までの政策保有株式の売却額合計は1兆6400億円超となった。今期(25年3月期)の目標額を上回るペースで売却が進んでいる。

  東京海上ホールディングスの4-12月期の売却額は7810億円。今期見込み額の7500億円を上回り、9120億円へと再度引き上げた。MS&ADインシュアランスグループホールディングスは5368億円と今期計画比で78%の進捗(しんちょく)となり、広報担当者はおおむね計画通りに進捗しているとコメントした。

  SOMPOホールディングスは1月以降の大口売却を加味すると今期計画の4000億円は超える見通しと説明。今年に入り、損保3社が保有する京都フィナンシャルグループ村田製作所の株式の売り出しが発表されている。

  企業向け共同保険料の事前調整問題を受け、損保3社は適正な競争をゆがめたとされる政策株を今後6ー7年かけて、すべて売却する方針を示している。初年度となる今期、想定以上に持ち合い先からの売却理解が得られたなどとして、昨年11月時点で3社とも期初の目標を増額していた。

    損保各社は政策株の売却益を株主還元のほか、企業の合併・買収(M&A)、人材投資などに充てる意向だ。

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は「政策株売却のスピードが計画以上に進んでいることはプラス材料」と指摘。その上で、売却益の使途がより重要だとして「どのくらい収益が上がる事業に資金を投入できているかを見極めたい」と述べた。

     損保3社が政策株保有ゼロの方針を打ち出したことで、持ち合い株の解消加速の動きは他業種にも波及した。株式の売り出し業務を手掛ける証券会社の業績にも寄与する形となった。

  売却益の計上も寄与し、4-12月期の純利益は各社とも最高益となった。 

  東京海上HDは政策株の売却加速や海外保険事業の好調を受けて、通期の純利益予想を従来予想の8800億円から前期比44%増の1兆円へと上方修正した。今期業績の上方修正は2度目。MS&ADとSOMPOは業績予想を据え置いたが、ともに通期計画に対して9割を超える高い進捗率となった。

  米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で1月に発生した山火事による保険金支払いの影響については、東京海上HDが純利益で310億円程度の影響を見込む。第4四半期に120億円、残りは来期に計上する。

上段が24年4-12月期実績、下段が25年3月期の通期計画

出所:各社資料

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