かんぽ生命、超長期金利はピーク近い-米金利の低下狙い円債へシフト

かんぽ生命保険は日本の超長期金利の水準がピークに近いと判断し、利下げにより米国の金利が低下する局面で外債から円債へのシフトを積極化する。

  野村裕之執行役・運用企画部長は22日のインタビューで「相対的にも絶対的にも日本の金利は魅力的」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引き下げで米金利が低下するタイミングを見計らい、「外債から円債への入れ替えを積極的に行う」と述べた。

  かんぽ生命ではFRBが年度内2回の利下げを実施するとの見通しを前提に、円債の購入規模は最大1兆円程度になる見込みだと言う。

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  参院選で自民、公明の連立与党が大敗し、石破茂首相の退陣論が浮上して財政拡張への不安が拭えない中、23日に発行減額後では初の40年債利付国債入札が行われ、低調な結果に終わった。国内金利の先高観から円債投資を控える生命保険会社が多い半面、かんぽ生命は富国生命保険と同様に外債から円債へのシフトを進める方針で、超長期債にとっては支援材料になる。

  野村氏は30年債利回りについて「財政拡張が議論されている間は高止まりするが、年度末に向けて落ち着き2%台に低下していく」と予測。今年度は「残存期間5年くらいから40年くらいまで、平均で20年弱、ある程度バランス良く、金利上昇により良いタイミングで予定通り購入できている」と明かす。

40年債入札

  財務省が23日実施した40年債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が2011年以来の低水準となった。同日の債券相場は日米関税合意を受けた日本銀行の利上げ観測のほか、石破首相の退陣が早まるとの見方から売りが膨らみ、大幅に下落(利回りは上昇)。新発30年債利回りは一時前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い3.15%に上昇した。

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  三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、日銀の内田真一副総裁の講演がややタカ派的だったことも利上げ観測を強めたと述べた。40年債入札については若干弱めだったが、すごく悪いというほどではなかったと指摘した。

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  かんぽ生命の野村氏は、国債市場の安定と入札の消化は非常に重要で、「世界の長期金利に影響を与える」ことから、投資家と財務省、日銀が国債発行を巡り対話することが大事だと強調。超長期債の一段の発行減額や買い入れ消却などに対するニーズが出てくれば、財務省も恐らく「検討すると思う」と述べた。

  一部で40年債不要説が出ていることについては「生保業界は40年以上の長い負債を持っており、期間の長い債券は国債市場の活性化や繁栄という意味で非常に重要な商品」との見方を示した。

(40年債入札の結果と市場動向を追加します。更新前の記事で野村氏の役職名を訂正済み)

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