米国株式市場=ナスダック・S&P急落、中国新興AI躍進でエヌビディア17%安
米国株式市場はS&P総合500種とナスダック総合が急落して取引を終えた。2021年1月撮影(2025年 ロイター/Mike Segar)
[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米国株式市場はS&P総合500種とナスダック総合が急落して取引を終えた。中国の低コスト人工知能(AI)モデルの人気が急速に高まる中、AI分野を主導する米企業の見通しに懸念が広がり、半導体大手エヌビディアなどが売り込まれた。ナスダックは昨年12月18日以来、S&Pは今月10日以来の下落率を記録した。
エヌビディア(NVDA.O), opens new tabは17%急落し、時価総額が約5930億ドル吹き飛んだ。LSEGのデータによると、1日の消失額としては同社が昨年9月に記録した額の2倍を超え、米上場企業で過去最大となった。フィラデルフィア半導体指数(.SOX), opens new tabは9.2%安と、2020年3月以来の下落率を記録した。
中国の新興企業ディープシークは、より低コストの半導体とより少ないデータを使用したとされる無料モデルを発表。AIが半導体メーカーからデータセンターまでサプライチェーン全体で需要を促進するという市場の見方に疑問が広がった。
ディープシークのAIアプリは27日までに、アップル(AAPL.O), opens new tabのアプリストアからのダウンロード数で米競合のチャットGPTを抜いた。
このほかハイテク関連大手ではマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabが2.1%、グーグル親会社のアルファベット(GOOGL.O), opens new tabが4.2%、それぞれ下落。AIサーバーを手がけるデル・テクノロジーズ(DELL.N), opens new tab、データセンター運営のデジタル・リアルティ(DLR.N), opens new tabはともに8.7%の大幅安となった。
AI技術開発に必要なデータセンターからの需要急増が期待される電力会社も売られ、ビストラ(VST.N), opens new tabが28.3%急落した。
ボケ・キャピタル・パートナーズの最高投資責任者キム・フォレスト氏は、ディープシークのモデルとその影響についてはまだ多くの疑問が残ると指摘。「きょうはこれらの銘柄に打撃となったが、今後数日の短期間の出来事が必ずしもこれらの銘柄の価値を決定づけるとは考えていない」と述べた。
株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数(.VIX), opens new tabも上昇した。
今週はマイクロソフトを含むハイテク大手の決算発表が予定されている。28─29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)にも関心が集まる。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.1対1の比率で上回った。ナスダックでは1.44対1で値下がり銘柄が多かった。
米取引所の合算出来高は173億9000万株。直近20営業日の平均は149億株。
LSEGデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります ※米国株式市場
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