ゴールデンウイークは「五つのR」で 専門家おすすめの休み方
2025年のゴールデンウイーク(GW)は、4月26~27日、29日、5月3~6日の「飛び石連休」となる。平日に休みを取れば、最長11連休にすることも可能だ。日々の疲れを回復するために、どのように連休を過ごしたらよいのだろうか。産業カウンセラーの渡部卓さん(68)に尋ねた。
上司が休まない会社は…
「日本は真面目な人が多く、長く休むと『こんなに休んで申し訳ない』と思ってしまうのではないでしょうか」
Advertisement職場のメンタルヘルス対策やコミュニケーションについての講演や企業研修で講師を務める渡部さんはこう指摘する。
渡部さんは企業で管理職をしていたこともあり「誰かが休んで職場で困ったことが起きた経験は全くなく、管理職でそれを気にする人は今の時代ではいないと思います」と話し、連休の取得を勧める。
厚生労働省によると、23年に企業が付与した、労働者1人当たりの年次有給休暇日数(繰越日数を除く)は平均16・9日。このうち実際に労働者が取得した日数は平均11・0日だった。
取得率は65・3%と1984年以降で最高となったが、政府が28年までに達成を目指す70%には届いていない。
24年の調査で「年次有給休暇を取得する際のためらいの有無」を尋ねたところ、「あまりためらいを感じない」「全くためらいを感じない」の回答を合わせると、60・8%を占めた。
一方で「ためらいを感じる」「ややためらいを感じる」の合計は39・2%で、「感じない」との回答よりは少ないものの4割が休むことに抵抗を感じていることがうかがえる。
ためらいを感じる人とそう感じない人の違いは何か。
調査の報告書では理由の一つに「直属の上司が積極的に年次有給休暇を取得しているかどうか」を挙げている。上司が積極的に取得していない層を見ると、「ためらいを感じる」が29・8%と顕著に高くなっていたからだ。
渡部さんは米国企業での勤務経験などを踏まえて「海外では休日にキャンプに行ったりカヌーをしたりして、携帯電話が通じないということも普通です。『しっかり休んだ人の方が仕事ができる』という考え方をしています」と話す。
そしてこう呼びかける。
「特に管理職の人ほど率先して長く休んでほしいと考えます。上司が休んでいることが見えないと、若手社員は自分が休むことを申し訳なく思ってしまいます。連休明けのメンタル不調を予防するためにも、管理職も若手社員も休むことは大切です」
連休はどう過ごすといいのだろうか。渡部さんが勧めたい方法が「五つのR」だ。
Relaxation(リラクセーション)
自律神経を休め、心と体のバランスを整える=腹式呼吸、アロマセラピー
Rest(レスト)
体をしっかり休める=睡眠、マッサージ
Recreation(レクリエーション)
遊ぶ、楽しむ、笑う=スポーツ、キャンプ、映画
Retreat(リトリート)
非日常に身を置き、静養する=旅行、森林浴
Resilience(レジリエンス)
ストレスからの回復力を身に付ける=読書やセミナーなどで心理学やストレス対策を学ぶ
日本人が得意なのは「レクリエーション」。休みに遊びに出かける、という発想はよくありそうだ。
これに加えて連休は、リラクセーション、レスト、リトリートも「実現できるチャンス」。渡部さんは「バランスよくやってみてはいかがでしょうか」と提案する。
最後のレジリエンスは「バネのような弾力性」「ゴムのような粘り強さ」を身に付けることで、日々のストレスや悩みを別の視点で考えられる機会になるという。
「本で学んだり、セミナーに参加して語り合ったり、休み中だけでも日記を書いたりすると、自分を見つめ直すことができます。連休の過ごし方にレジリエンスを組み合わせてみてください」と話している。【御園生枝里】