7万年前に太陽系に侵入した「ショルツ星」当時の人類は横切ったフレアを目撃していた?(スペースチャンネル)

スペースチャンネル宇宙系YouTuber
太陽系内に侵入した恒星のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)

今から約7万年前、現生人類がまだアフリカを出始め、ネアンデルタール人と共存していた時代に、ある恒星系が地球のすぐ近くを通過していた可能性があるのをご存知でしたか?その名も「ショルツ星」についてご紹介していきます。

毎週土曜21:00~宇宙ニュース配信中!!

■7万年前、地球に最も近づいた「ショルツ星」

ショルツ星のイメージ 出典:Michael Osadciw/University of Rochester

2013年末、ドイツの天文学者ラルフ=ディーター・ショルツ氏によって、いっかくじゅう座の方向にある暗い赤色矮星が発見されました。のちの調査でこの「ショルツ星系」は、現在から見て約20光年彼方に位置していることが判明します。しかし軌道をたどると、この星は約7万年前に太陽からわずか0.8光年の距離を通過していたことがわかったのです。これは、現在最も太陽に近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」の5分の1の距離にあたります。

ショルツ星は、赤色矮星と褐色矮星からなる連星系で、質量は太陽のそれぞれ8%と6%程度とされています。非常に暗いため、最接近時でも地球からの見かけの明るさは約10〜11等級だったと推定されていますが、赤色矮星特有の強力なフレアが発生していれば、一時的に肉眼でも観測できたかもしれません。もしかすると、7万年前の人類は、その一瞬の輝きを空に見ていた可能性すらあるのです。

■彗星の嵐は起きたのか?

オールトの雲 出典:NASA

ショルツ星が通過した領域は、太陽系を取り囲む仮想的な球殻状の天体群「オールトの雲」の外縁部と推定されています。彗星の故郷とされるこの領域に恒星が接近したことで、彗星軌道に影響を与えた可能性も考えられます。しかし、シミュレーションによるとショルツ星は98%の確率で外側のオールト雲をかすめただけで、地球へ直接彗星の雨をもたらすような影響はなかったとされています。

万が一オールト雲の氷天体がこの影響で軌道を変えたとしても、それらが太陽系の内側に到達するまでには200万年ほどかかるとされ、実際に地球が影響を受けるのは遥か未来の話となるでしょう。

■このような接近はどれほど稀か?

太陽系内に侵入した恒星のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)

研究チームによると、ショルツ星のように地球から1光年未満の距離まで恒星が接近する現象は、900万年に1回程度の確率で発生するといいます。今後同様の恒星接近が起こるのは、早くても24〜47万年後になると予想されており、しばらくは安心できそうですね。

現在、ショルツ星は20光年離れたいっかくじゅう座の方向に移動しています。偶然か、宇宙の運命か——もしショルツ星が太陽の至近距離を横切っていたとしたら、一体地球にどのような影響が起きていたと思いますか?ぜひ皆さんからのコメントお待ちしています。

宇宙系YouTuber

宇宙ニュースをお届け!YouTubeでは宇宙情報をLIVE配信中! ロケット打ち上げ計画や惑星探査機・科学情報を、初心者の方にも分かりやすく解説します!皆さんからの気になる質問や熱いコメントもお待ちしています!

*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: