最近の習い事トレンドは?発達心理学の専門家に聞く、習い事の始めドキとは?(たまひよONLINE)

習い事は早期化傾向にあり、小学生になれば掛け持ちをしている子どもも多いのが現状です。最後に菅野幸恵さんに、発達心理学の観点からの習い事の意義や、適切なスタートのタイミングについてお聞きしました。 「習い事の早期化は止まりませんし、就学前から複数の習い事をしている子どもも少なくありません。 早く始めた方がいいのではないかという考えがあるのかもしれませんが、早く始めればいいわけではありません。 例えば英会話は、早く英会話教室に通ったからといって英語学力が高くなるわけではないということが明らかになってきています。 まずは母語(多くのユーザーにとっては日本語でしょう)をしっかり育てることが大切です。 運動機能に関しても、体操教室やダンス教室に通っている子どもの運動能力が高いわけではないこと、また運動嫌いの子どもが多いことが指摘されています。 理由としては、そのような『教室』では『指導』の時間が多く、大人に決められたことを行う(やらされる)ため、子どもの主体的な活動は少ないことが考えられます。 『競争』の要素も多く、他児に対して攻撃的になる子どもの存在も指摘されています。幼稚園や保育所を対象にした調査では、『体操の時間』を設けている園の子どもよりも、自由に遊ぶ時間のある園の子どものほうが運動能力が高いということがわかっています。 体操の時間は、『教室』と同じように指導の時間が多く、また順番に行うため、子どもが待つ時間も多いです。また一部の身体機能のみを使う傾向があるために、偏りが出がちです。一方、遊びは自分たちが主体になって行う活動で、身体全体を使います。 習い事を始めるのは小学校に入ってからでも十分と私は考えています。できれば就学前までは、たっぷりと遊びの時間(できれば外遊び)を作ってほしいです。 遊びには、身体的にも心理的にも子どもに必要な要素が詰まっています。やりたいことを楽しくしているうちに、いろんな育ちがついてくるのです。だからといって遊びを習い事にしないでくださいね。途端に子ども主体の要素が失われてしまいます。 習い事を始めるとしたら、子どものタイミングで始めてください。体験談にも子どもが興味を持っていたからと始めた方がいましたね。 注意したいのは、自分がやって良かったことや、やりたかったことをさせること。自分がやりたかったことと、子どもがやりたいことが同じとは限りません。あくまでも子どもの興味やタイミングで始めてほしいですね。 ただ、子どもがやりたいといって始めた習い事でも、思っていたのと違っていたり、すぐに飽きてしまったりすることもあります。友だちがやっていたからやりたいという場合も、はまる場合もありますが、自分には合わないと思うこともあります。そうなってしまっても、『せっかくはじめたのに』『もったいない』という気持ちはぐっとこらえて、子どもの気持ちを尊重してください。 一方で、試合に出られなかったり、勝てなかったり、なかなか目に見える成果がなくて、大人から見ると『楽しいのかな? 』と思うにも関わらず、本人は結果を気にせず好きで続けている場合もあります。 子どもが楽しんでいるようだったら、ぜひ続けさせてあげてほしいと思います。 習い事の『効果』を期待するのではなく、子どもがいろいろな人と出会い、体験をする機会としてとらえてもらいたいです」(菅野幸恵さん) 親からすれば、早め早めと考えてしまいがちですが、子どもの成長や発達の時期で大事なことがあるということがよくわかりました。ぜひ参考になればと思います。 (取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)

PROFILE) 青山学院大学コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間学科教授。専門は、発達心理学で研究テーマは、乳幼児期の親子関係、地域コミュニティでの子育てについて。著書に『あたりまえの親子関係に気づくエピソード65』(新曜社)、『つながりの子育て』(共著/理工図書)がある。 ※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。 ※調査は2024年7月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数164人) ※記事の内容は2025年3月の情報であり、現在と異なる場合があります。

たまひよ ONLINE編集部

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