任天堂「スイッチ2」、従来機より高くても好調な販売期待-アナリスト
任天堂が4月にも詳細を発表する家庭用ゲーム機「スイッチ2」について、部品コストの上昇を背景に販売価格は従来機の「スイッチ」を上回りそうなものの、好調な滑り出しになりそうだと複数のアナリストが予想している。
同社のゲーム機としてはこれまでで最も高額になると予想されるが、ソフトやハードのパートナー企業に近いアナリストらの見立ては楽観的だ。最新ハードへの期待が高まっていることや、遊べるゲームが多いためだ。
株価の動きもそれを裏付ける。従来機の買い控えが鮮明になる中、スイッチ2への期待は2月に同社株を上場来高値へと押し上げた。米トランプ大統領の関税政策が状況を複雑にし、任天堂の利益率を圧迫する可能性もある。ただ、誰もがスイッチ2が好調なスタートを切るとみている。
ゲームコンサルタント、カンタンゲームスのセルカン・トト代表は、「特に最初の数カ月は価格に関係なくたくさん売れる」と予想する。発売1年目には「マリオカート」や「3Dワールド」、「ポケモンレジェンズゼットエー」、「メトロイドプライム4ビヨンド」などのソフトの発売が期待されるという。大ヒット作「コールオブデューティ」はスイッチ2に合わせて発売されるとみる。
100ドル以上の引き上げ
トト氏はスイッチ2の価格が、スイッチの299ドルから100ドル以上引き上げられると予測する。UBS証券アナリストの翟翌佳氏やサンフォード・C・バーンスタインのアナリスト、ロビン・チュー氏も同様の見方だ。チュー氏は6月発売で当初600万~800万台の在庫が準備されると予想する。マッコーリーキャピタル証券の山科拓アナリストは399~449ドルで、初年度売り上げを2000万台と予想する。
東洋証券アナリストの安田秀樹氏によると、従来機に搭載されたエヌビディア製半導体は1個当たり80ドルと推定されるが、スイッチ2では130~150ドルになる可能性が高いため、「499ドルで発売されても驚かない」と話す。
アナリストらの予想が当たればスイッチ2は業界史上最大の成功となる。発売当時2万9980円(税別)だったスイッチは、最初の1カ月で274万台販売され、ソニーグループの「プレイステーション4」と「プレイステーション5」は発売直後の四半期決算によれば約450万台だった。スイッチ2には従来機から互換性のある膨大なソフトに加え、発売に合わせて準備されるソフトの恩恵も見込まれる。
任天堂は高騰する電子部品やソフト開発費を受けて値上げの可能性を探ってきた。実質的にソフトが割引になる取り組みのいくつかは今後廃止され、大型タイトルは値上げを行ってきた。日本では今月末からスイッチの修理代金が最大3割上がる。スイッチ2でも同じような価格転嫁の可能性はある。
スイッチ2の価格や発売後の出足についての問い合わせに任天堂の広報部は、特にコメントはないと回答した。
いずれにせよ発売日や価格などの詳細は、4月2日午後10時開催のオンラインイベントで明らかになる公算が大きく、参加者の反応は業績見通しに反映される可能性が高い。古川俊太郎社長は2月、スイッチ2の価格決定には消費者が期待する価格帯を考慮する必要があると述べた。
一方で、いまだはっきりしないのが販売に与えるトランプ関税の影響だ。トト氏は価格上乗せにつながる可能性を指摘するが、安田氏はスイッチの生産の一部が中国からベトナムに移管されているため、そういったリスクは限定的だろうと予想する。