スマホで撮影しながら通報 「映像110番」、容疑者逮捕も

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事件や事故の状況を目撃者がスマートフォンで撮影して通報する「映像110番」の活用が広がってきた。2024年1〜11月に映像・画像の送信を伴う通報は全国で6675件。口頭では伝わりにくい現場の状況が把握でき、早期の容疑者摘発や災害現場の復旧作業に生かされた。仕組みや操作方法を知らない人もおり、周知が課題になる。

1月10日の「110番の日」に合わせ警察庁が通報の受理状況を公表した。

「映像110番」は事件や事故の目撃者から110番があった際に、警察側が通報者のスマホやタブレット端末にショートメッセージサービス(SMS)で専用サイトのURLを送る。アクセスすると通話しながら撮影でき、動画や画像も送ることができる。

全国の警察で23年4月に本格導入した。24年1〜11月の受理件数は前年同期(8716件)から減少したものの、効果はあらわれている。

岐阜県で24年3月、「電車内で刃物を持った女がいる」と通報があった。県警は現場に警察官を急行させるとともに、通報者が送信した映像から女の特徴を把握。近隣の路上で発見し、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。

24年1月に発生した能登半島地震では富山県内で複数の崖崩れが発生した。土砂が道路を塞いだ状況を通報者が撮影して通報。現場に向かう警察官が事前に状況を把握できたという。

事件や事故を目撃した場合、混乱して冷静に状況を説明できない場合も少なくない。映像や画像による客観的な情報があれば、警察官の派遣や必要な資機材の配備といった判断に役立つ。

24年1〜11月の通報で送信された動画・画像の内訳では、通報前に撮影された画像が4767件と最も多かった。システムへのアクセス後に撮影した画像が1424件と続いた。

運用開始から3年目に入ったが仕組みが広く知られているとは言えない。24年1〜11月に受理した110番の総数は963万8998件で、映像・画像が活用されたのは0.07%にとどまる。

警察庁の幹部は「『映像110番』は現場の状況をより素早く正確に把握でき、必要な対応をスムーズにおこなうために有効な手段。広報を強化し認知度を高めていきたい」と話した。

全国の警察が2024年1〜11月に受理した110番通報のうち、スマートフォンや衛星電話といった移動電話が占める割合は77.6%を占め同期比で過去最高になった。事件や事故の現場に近い目撃者からの通報が増える一方、スマホの自動通報機能による「誤通報」も目立ってきた。

アップルのiPhoneなどにはスマホ側面のボタンを5回以上押すなどすれば自動的に110番する機能がある。緊急時に素早く救助を求めるための機能だが、ポケットやバッグに入れている際に衝撃などによって意図せず通報される場合があるという。

これら誤通報と虚偽通報を合わせた件数は22万5749件に上り、前年同期比で1.0%増えた。

通報者の応答がないため、取得した位置情報に基づき警察官を派遣したが誤作動が原因と判明するケースが多いという。警察庁担当者は「緊急性の高い通報に人的リソースが割けなくなる恐れがある」として、設定を確認するよう呼びかけている。

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