太陽のフィラメント放出現象、太陽観測衛星が撮影
太陽のフィラメント放出=地球に影響大!
7月15日、太陽の左上部から「フィラメント」と呼ばれる構造が噴出し、強力なプラズマと磁場の爆風が宇宙空間に放出されました。非常に大規模だったこの爆発は、太陽の可視表面に灼熱のプラズマと破片による深く燃えたぎる傷跡を残すこととなりました。
天文学者たちが警戒
フィラメントの噴出は珍しい現象ではありませんが、天文学者たちはフィラメント噴出の数日前から、太陽表面の上に浮かぶ冷たく高密度なガスのリボン状の巨大なフィラメントに注目していました。このフィラメントが崩壊した際、太陽の磁場に生じた小さな不安定性によって引き起こされる激しいプラズマの波が出るので、それを捉えるため、天文学区者たちは太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」の準備をしていたのです。
Image: NASA/Solar Dynamics Observatoryこの爆発によって、長さ約40万キロメート、高さ少なくとも約2万kmという巨大な「炎の大峡谷が刻まれた。まさに壮大なキャニオンだ」と、太陽活動や宇宙天気の情報を追跡するサイト「Spaceweather.com」を運営する天文学者トニー・フィリップス氏は報告しています。
コロナ質量放出はどんな影響がある?
天文学者たちがフィラメントを監視する理由のひとつは、こうした噴出が「コロナ質量放出(CME)」と呼ばれる激しいプラズマと磁場のバーストを引き起こすことがあるから。CMEが地球に到達すると、電力網や通信ネットワークに衝撃を与える「地磁気嵐」を引き起こす可能性があります。宇宙にいる宇宙飛行士にとっては、こういった嵐により危険なレベルの放射線にさらされ、健康に悪影響を及ぼすおそれもあるのです。
Credit: NASA/ESA/Solar and Heliospheric Observatory今回は大丈夫!
太陽・太陽圏観測衛星(SOHO)と米国海洋大気庁(NOAA)による追跡観測により、今回のCMEは地球の方向には向かっていないと確認されています。 なお、このフィラメントが残した傷跡が太陽上にどれほど長く残るかは、今後観測を続けていくとのことです。