NY市場サマリー(27日)ドル下落・円上昇、利回り急低下 ナスダック・S&P急落
<為替> ドルが下落。一方、安全資産とされる円とスイスフランは上昇した。
マネーコープの北米ストラクチュアリング責任者ユージン・エプスタイン氏は、ディープシークに絡み株価が急落し、米連邦準備理事会(FRB)が支援的になるという見方が台頭しているようだと述べた。
終盤の取引で、円は対ドルで0.87%高の154.63円。一時、昨年12月半ば以来の高値となる153.71円を付けた。
スイスフランも0.5%高の0.90155ドル。
主要通貨に対するドル指数は0.29%安の107.36ドルと、12月中旬以来の安値に沈んだ。
ユーロ/ドルは0.02%高の1.0491ドル。
一方、関税懸念を背景にメキシコペソは対ドルで2%安、カナダドルは0.22%安となった。
週内に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)と欧州中央銀行(ECB)理事会が注目されている。
また、31日にはFRBがインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは4.38%安の10万0497.28ドル。ただ、依然として先週付けた最高値の10万9071.86ドルからさほど遠くない水準にある。
NY外為市場:
<債券> 株価急落を受け、国債利回りが数週間ぶりの水準に低下した。中国のAI開発の新興企業ディープシークが開発した低価格AIモデルの出現で株式市場でハイテク株が急落する中、安全資産と見なされる米国債に資金が流入した。
米財務省がこの日に実施した5年債入札が好調だったことも、利回り低下につながった。
FHNファイナンシャルのマクロストラテジスト、ウィル・コンパーノル氏は「ディープシークを巡るニュースで安全資産への資金の逃避が引き起こされた」と指摘。ただ、28─29日のFOMCが注目される中、債券市場ではディープシークの影響はすでに薄れ始めているとしている。
FRBは今回のFOMCで金利据え置きを決定するとの見方が大勢。BNYインベストメンツのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「トランプ新政権の政策が明確になるまでFRBは動けない」と指摘。「特定の政策に基づく予測ができないため、FRBは現在、ガイダンスの面で難しいかじ取りを迫られている」と述べた。
財務省が実施した5年債入札は最高落札利回りが4.330%、応札倍率が2.40倍と好調。
2年債入札は最高落札利回りが4.211%、応札倍率が2.66倍と、やや軟調だった。
10年債利回りは一時4週間ぶりの水準に低下。終盤の取引で9.5ベーシスポイント(bp)低下の4.534%。30年債利回りと20年債利回りも一時4週間ぶりの水準に低下した。
2年債利回りは一時7週間ぶりの水準に低下。終盤の取引では7.5bp低下の4.197%。3年債、5年債、7年債利回りは6週間ぶりの低水準を付けた。
米金融・債券市場:
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が急落して取引を終えた。中国の低コストAIモデルの人気が急速に高まる中、AI分野を主導する米企業の見通しに懸念が広がり、半導体大手エヌビディアなどが売り込まれた。
ナスダックは昨年12月18日以来、S&Pは今月10日以来の下落率を記録した。
今週はマイクロソフトを含むハイテク大手の決算発表が予定されている。28─29日のFOMCにも関心が集まる。
米国株式市場:
<金先物> リスク回避ムードの広がりを背景に利益確定や換金目的の売りが台頭し、反落した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前週末比40.50ドル(1.46%)安の1オンス=2738.40ドル。
NY貴金属:
<米原油先物> 米政府による対コロンビア関税引き上げ見送りをきっかけとした供給不安の後退や米株安などを背景に、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値(終値に相当)は前週末比1.49ドル(2.00%)安の1バレル=73.17ドルと、中心限月の清算値ベースで1月初め以来約3週間ぶりの安値水準となった。4月物は1.46ドル安の72.50ドル。
NYMEXエネルギー:
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