「新たな疑問が浮上」、墜落事故の調査報告受けエア・インディアCEO

エア・インディアのキャンベル・ウィルソン最高経営責任者(CEO)は、6月12日の墜落に関してインド航空機事故調査局(AAIB)が公表した暫定報告について、事故原因に関する謎がより深まったとの見解を示した。同CEOは操縦士らの適性および機体検査の実績に問題はないと主張している。

関連記事:離陸直後にエンジンへの燃料供給が遮断-インド機事故の予備報告書

  先週末に発表されたAAIBの暫定報告は、コックピット内の燃料制御スイッチ2つがいずれも供給遮断のポジションに切り替えられたことが、墜落の原因だったと指摘した。ボーイング787「ドリームライナー」使用のアーメダバード発ロンドン行きのエア・インディア便は、着陸から32秒後に人口密集地域に墜落し、乗員・乗客241人が死亡し、地上でも19人が犠牲になった。

  ウィルソンCEOは従業員に宛てた社内文書で「報告書で不明だった点が明確になったと同時に、新たな疑問が生まれた。これは想定内のことだ」と述べた。同報告書には機体とエンジンの機械的問題や整備の問題は見つからず、必要な検査は全て完了していたと記された。この点にもウィルソン氏は社内文書で留意を促した。

  ウィルソン氏は燃料の質や離陸の状況にも異常は見られなかったとし、操縦士らは搭乗前のアルコール検査では陰性で通過、健康状態にも問題はなかったと述べた。

  エア・インディアに電子メールでコメントを求めたが、返信はない。

  AAIBの暫定報告によれば事故当時、操縦かんを握るパイロットフライング(PF)を務めたのはクライブ・クンダー氏で、ボーイング最新型機で約1100飛行時間の経験がある。一方、PFの操縦を監視するパイロットモニタリング(PM)の役割は、クンダー氏より経験が豊富で格上のスミート・サバルワル氏が務めていた。長距離フライトでは機長と副操縦士が役割を交代するのが一般的だ。

  離陸シークエンスは報告で詳細に再現されたものの、なお複数の不明点が残る。どちらの操縦士が「なぜ燃料スイッチを切ったのか」と尋ねたのか分かっていない。コックピットの会話記録としては、この短いやり取りしか公表されていない。

  報告書を精査した複数のパイロットは、燃料スイッチを「切る」には1秒しかかからないが、「入れる」には1つめで10秒、2つめでさらに4秒を要しており、そのために推力の回復が間に合わなかったと指摘した。

関連記事:インド、ボーイング機の燃料供給スイッチ点検を指示-暫定報告書受け

  AAIBはまた、現時点ではボーイング機およびGEエアロスペース製エンジンに関して、何らかの措置を講じる必要性はないと判断した。

原題:Air India Crash Report Raises More Questions, CEO Says in Memo(抜粋)

関連記事: