旅の専門家おすすめ、「知る人ぞ知る」穴場の世界遺産6選はここ

旅行先にユネスコ世界遺産を選ぶ人が増えている。(MARIA KORNEEVA, GETTY IMAGES)

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 世界遺産を巡る旅への関心が高まりを見せている。多くの旅行会社が世界遺産をメインにしたツアーを組み、「2025年は、48種類ある世界遺産ツアーの参加者枠を41%増やし、2026年には35%増やす予定です」と、旅行会社ロード・スカラーの広報担当上級スペシャリスト、リジー・ジェレシターノ氏は語る。

 優れたレストランに与えられるミシュランの星のように、ユネスコの世界遺産認定は、その場所に卓越した文化的または自然的な意義があり「人類にとって顕著な普遍的価値(OUV)」があることを示すものだと、ユネスコ公式ウェブサイトは説明している。登録されるには、定められた基準を満たす必要があり、詳細な審査を経て、最終的にはユネスコの世界遺産委員会によって決定される。(参考記事:「2024年に登録された欧州の世界遺産全7件、アッピア街道など」

「私たちのお客様には、コレクター気質の方が多くいらっしゃいます。ただし、集めているのは物ではなく、思い出や体験、そして感動です。世界遺産はまさにそれを体現する場所なのです」と、ホーランドアメリカラインでクルーズ船寄港地での観光や商品開発を担当するディレクター、メラニー・ルイス・カースイェンス氏は語る。(参考記事:「いつかは行きたい 一生に一度だけの旅 世界一周クルーズ船」

 世界遺産は記憶に残り、心に深く刻まれる場所だ。「世界遺産の訪問は、旅を観光から文化に深く触れる体験へと格上げします」と、バイキング・クルーズのマーケティング担当執行副社長のリチャード・マーネル氏は言う。(参考記事:「ユネスコ無形文化遺産とは? 守りたい世界の文化すでに600件超」

保全への配慮を

 人々が世界遺産に惹かれる理由のひとつは、そこがきちんと保全されているからだ。だからこそ、訪れる側にも敬意あるふるまいが求められる。

「歴史的な場所を訪れるときは、周囲への配慮を忘れないでください」とルイス・カースイェンス氏は言う。「残していいのは足跡だけ。持ち帰っていいのは写真だけです」(参考記事:「世界遺産条約50年、ユネスコが直面する課題と限界」

 ウィンドスター・クルーズの広報部長サラ・スコルトック氏は、夏の混雑を避けるため、春、秋、冬の訪問を勧める。ただし、ノルウェーにある世界遺産のように、冬が最も混み合う場所もあるので注意が必要だ。旅先によって混雑の少ない時期は異なるので事前によく調べておこう。

 ウェブサイト「World Heritage Journey(世界遺産の旅)」の共同設立者であり、世界遺産を訪れたい人とつながれる「World Heritage Sites(世界遺産サイト)」の会員でもあるジョエル・ボールドウィン氏は、旅のコミュニティでは役立つ旅情報が数多く見つかると語る。

 World Heritage Siteには会員が自身の体験を共有する場があり、有益な情報源になっているという。「例えば『車は必要?』『そこへの行き方は? 公共交通機関はある?』といった疑問に対する情報が得られます」と話す。

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