ウィトコフ米特使がロシア高官に助言か 音声記録流出、トランプ氏は擁護

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アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使が、ロシアの高官に、ドナルド・トランプ米大統領への働きかけ方を助言しているように聞こえる音声記録が流出した。これについてトランプ大統領は27日、ウィトコフ氏は「標準的なこと」をしていると擁護した。

BBCニュースはこの通話を独自に確認していないが、トランプ氏はこの日、大統領専用機の中で記者団に対し、「非常に標準的な交渉の形態」だと述べた。

トランプ氏は、流出した音声は聞いていないとしたうえで、ウィトコフ氏はロシアとウクライナ双方に和平案を「売り込む」ために「ディールメーカーがすること」をしていると述べた。

流出した会話は10月14日にあったとされ、書き起こしによると、ウィトコフ氏とウシャコフ氏は戦争終結について話し合った。この中でウシャコフ氏は、トランプ氏とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が話すことは有益かと尋ねている。

これに対しウィトコフ氏は、「私の側はそれをする準備ができている」と述べ、その後、電話会談の進め方を提案したとされる。

「ただ繰り返し、(トランプ)大統領の成果を祝福して(中略)彼が平和を望む人物であることを尊重して、それが起きたことを本当にうれしく思っていると伝えてほしい」、「そうすれば本当に良い電話会談になると思う」と、ウィトコフ氏は述べたとされる。

また、「私は大統領に、あなたが、そしてロシア連邦が常に和平合意を望んできたことを伝えた。それが私の信念だ」、「問題は、譲歩に苦労している二つの国があるということだ」とウィトコフ氏は付け加えている。

ウィトコフ氏はさらに、「ちょうどガザでやったように、私たちが20項目の和平提案をまとめることさえ私は考えている」と述べている。

通話は、ウィトコフ氏がウシャコフ氏に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のホワイトハウス訪問が差し迫っていることを伝え、「可能であれば」その首脳会談の前に、トランプ氏とプーチン氏が話すべきだと述べて終わった。

しかし、ゼレンスキー氏がホワイトハウスを訪問した時点では、その雰囲気は変わっていたように見えた。トランプ氏は、ウクライナにトマホークを供与すれば紛争が激化する可能性があると述べ、プーチン氏が「戦争を終わらせたい」と信じていると語った。

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画像説明, ウィトコフ米特使(右)はこれまでに何度もモスクワを訪れ、プーチン氏とも会談している

通話の流出について尋ねられた際、ウシャコフ氏はロシア国営メディアに対し、流出は「おそらく妨害が目的」であり、関係改善のために行われた可能性は「低い」と述べた。

また、ウィトコフ氏が「暫定的な合意」に基づき、来週モスクワを訪問すると明らかにした。

ウィトコフ氏は今年、モスクワを数回訪問しており、来週にも再び、プーチン大統領と会談する予定だ。

ウィトコフ氏は、特使としての役割でキーウを訪れたことは一度もない。ただし、他のアメリカ政府高官は訪問しており、ダン・ドリスコル陸軍長官が今週キーウを訪れた。トランプ氏も、ウクライナ側とさらなる協議を行うと述べている。

ウクライナでの戦争をめぐっては外交協議が続いている。

アメリカは今月20日に28項目からなる和平案を提示したが、ウクライナと欧州の指導者らからロシア寄りだと批判を受けた。提案の中には、ウクライナが東部ドンバス地方を放棄し、軍の規模を大幅に縮小することなどが含まれていた。

その後、計画はウクライナの利益と欧州の支援国の見解をより反映するように修正された。ゼレンスキー大統領は、「難しいポイント」を話し合うため、トランプ大統領と会う用意があると述べた。今月末までに会談することを目指しているという。

流出の背後に誰がいるのかは明らかになっていない。しかしブルームバーグは、ウシャコフ氏とプーチン大統領の特使キリル・ドミトリエフ氏との間であったとされる別の通話も文字起こしして報じている。ドミトリエフ氏は、28項目の草案が浮上する数週間前の10月下旬に、ウィトコフ氏と米マイアミで数日間を過ごしていた。

文字起こしによると、ドミトリエフ氏はウシャコフ氏に、「我々の立場からこの文書を作るだけだ。そして私が非公式に渡す。すべてが非公式であることを明確にしながら。そして、向こうには自分たちのやり方でやらせる」と述べている。

報道によると、ドミトリエフ氏はこの件に怒りを示し、「潤沢な資金と組織力を持つ悪意あるメディアの仕組みが、偽の物語を広め、対立者を中傷し、人々を混乱させるために構築されている」と不満を述べた。

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