知らないことを「ググる人」は時代遅れ…東大教授が毎日使っている「無料で高性能の検索サービス」【2024下半期BEST5】 この便利さに慣れると、古典的な検索エンジンには戻れない
どのAIが一番適した答えを返してくれるかがわからなくても、4つ同時に共通の質問を投げかけて、4つの回答を比較しながら、自分が求める最適な答えを探すことができます。同時に入力すると、どのモデルの回答速度が一番速いか、どのモデルが最も精度の高い回答を提供するかも見えてきます。
たとえば、「あなたは大学の薬学部の教授です。このテーマで薬理学の期末テストの問題を作ってください」と入力すると、それぞれがテスト問題を作成してくれます。
個人的には、問題文の作成はClaudeが最も得意だと感じています。一方、長い文章の要約はGeminiが最も優れていると感じます。また、論理的な思考や、数学的な思考は、o-1が圧倒的に優れているようです。
小学生レベルの算数が正しく解けないことも
たとえば、次の質問を読んでみてください。
「マラソンで4位の人を追い抜いた。今何位になったか?」
池谷裕二『生成AIと脳 この二つのコラボで人生が変わる』(扶桑社)
皆さんの答えはどうでしたか? 以前、この質問を投げかけた際、Gemini、Claude、Llamaは「3位になりました」と回答したが、唯一「4位になりました」と回答したのがChatGPTです。正解は、ChatGPTが回答した「4位」です。
人間でも「3位」と答えそうになるかもしれませんが、前に4位の人が走っているということは、あなたは現在5位にいるわけで、目の前にいる人を抜いたということは、現在は4位に上がったことになります。
一般的に、この問題では文系の人ほど「3位」と答える傾向があることが知られています。生成AIは文系的な性質を持っているといわれ、このような小学生レベルの算数を正しく解くことも、ときに難しいのです。
ただし、生成AIの精度は日々向上していて、2024年9月の時点では、Gemini、Claudeでも、この問題を解決できるようになっていることを確認しています。
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結果的に、従来型のインターネット検索を使う機会が減り、一部では「ググるのは時代遅れ」と言われるようにもなりました。
インターネット検索で表示される結果は、関連のあるホームページのリストです。利用者は、そのリストのうちから「これぞ」と思ったURLをクリックして、該当するホームページを読み、また検索結果のリストに戻っては、別のホームページに飛ぶ、といった作業を繰り返します。つまり、検索したとしても、その後に、何度もクリックする必要があり、それ自体が面倒なわけです。
一方、回答エンジンは、そのリストの先のホームページの内容をまとめてくれるため、欲しい情報に一回の検索でたどり着くことが多いのです。この簡便さに慣れてしまうと、もはや古典的な検索エンジンに戻ることはできなくなります。私はまさにこれです。
Googleはオリジナルサービスで対抗
ただ、回答エンジンの利用が広がれば、困るのは企業です。要約で事足りてしまえば、自社サイトへの訪問者が減少するのは目に見える話。そのため、現在、世界のトップ企業の約35%が、回答エンジンによる自動検索(スクレイピング)をブロックしているそうです。こうなると、回答エンジンの万能性は下がってしまいます。
もちろん、当のGoogleにとっても、回答エンジンの登場は大問題です。自社の主力サービスである「インターネット検索」が脅かされることになります。危機感を抱いたのか、同社が2024年に発表したのが、自社オリジナルの回答エンジン「Search Labs」です。これも無料で利用できるサービスです。
Search Labsの設定をオンにしておくと、いつも通りGoogle検索をするだけで、画面上部にコンテンツの要約が表示されるため、便利です。要約部だけで必要な情報が得られるため、わざわざオリジナルのウェブサイトを閲覧する機会が少なくなりました。