紅色は星形成領域の証 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「M77」

こちらは「くじら座(鯨座)」の方向約4500万光年先の渦巻銀河「M77」(Messier 77、NGC1068)です。明るい中心部分を青色と赤色に彩られた幅の広い渦巻腕(渦状腕)が取り巻くその様子は咲き誇る大輪の花を思わせます。 今日の宇宙画像:NASAや各国宇宙機関が公開した魅力的な画像を毎日紹介 この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」と「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得した観測データを使って作成されました。 渦巻腕を彩る青色と赤色には密接な関係があります。青色は若く高温の大質量星から放射された光。赤色は大質量星が放射した紫外線によって電離した水素ガスが光を放っている「HII(エイチツー)領域」です。HII領域はガスと塵(ダスト)を材料に星が形成される星形成領域でもあり、新たな星が誕生する現場であることから“星のゆりかご”と呼ばれることもあります。 ハッブル宇宙望遠鏡による最近のM77の観測は、宇宙のあらゆる時代において銀河の成長と進化を促進する重要なプロセスであるガスの流れ・星形成・フィードバックのサイクルを解明するために、近隣の55の銀河を観測する調査の一環として2024年9月に実施されています。 ESA=ヨーロッパ宇宙機関(欧州宇宙機関)によると、密集した低温のガスや塵の塊の中で誕生した星は、周囲の環境に影響を及ぼし始めます。星は放出した恒星風や電磁波、大質量星の場合は超新星爆発を通じて自身が誕生したガス雲を加熱し、かき乱します。こうしたプロセスは総称して恒星フィードバック(Stellar feedback)と呼ばれていて、銀河が新しい星を形成する速度に影響を与えるということです。 冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2025年4月14日付で公開されています。 参考文献・出典 ESA/Hubble - The squid and the whale

sorae編集部

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