中学受験専門家「問題文をじっくり読む習慣が正解に辿り着く」小5の算数を乗り越えるカギ(みんかぶマガジン)

「中学受験は小5が天王山だ」「小5が学ぶ内容も量も多く、一番大変だった」 塾関係者、受験を終えた家庭でそう語る人は多い。  毎年、数多くのトップ校合格者を輩出し、算数・数学教育に詳しいmath channel(マスチャンネル)の滝澤幹氏は次のように語る。 「中学受験で塾通いをする小4〜小6の3年間のうち、小5は新たに学ぶ単元がもっとも多いのです。それぞれの単元の難易度も高く、習得に時間がかかります。受験生にとって大きな試練の場であるのは間違いありません」  中学受験で出題されるほとんどの単元は小5で習うため、その習得率によって志望校の合否が決まると言っても過言ではないと滝澤氏。  小4のうちからやっておくべきことは何か、小5で心がけるべき学習、そして小6で「重要単元のやり残し」を取り戻す方法は何か。プロの視点から、すぐに役立つアドバイスを語ってもらった。全3回の第2回。

 小5の算数でもっとも重要なのが、「問題をしっかり理解すること」「日本語力」です。計算だけが得意な子、言葉の意味や文章の意図を正しく読み取れない子は、ここで伸び悩むケースが非常に多いのです。  問題文の意味をきちんと噛み砕いて、何を問われているのか、自分は何を求めれば良いのか、丁寧に読み取る力が必要になってきます。  こちらは小5で習う割合の問題です。 問題文が長く、条件を理解しないと正解に辿り着けません。  計算式を立てる前に、まずはしっかりと日本語の文章と向き合い、図を描くことが必要になるのです。まずは一度立ち止まり、問題文をじっくり読む習慣が、小5の算数を乗り越えるカギになります。 例:割合(相当算)の問題 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 バスが何人かの乗客を乗せて出発しました。最初の停留所で乗客の1/2が降りて5人が乗りました。2番目の停留所で乗客の1/5が降りて4人が乗りました。3番目の停留所では乗客の1/2が降りて3人が乗りました。終点では乗客15人全員が降りました。出発したとき乗客は何人でしたか。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 5年生の場合、まだ受験に当事者意識を持っていない子も多いです。そのため、こうした問題に対して「早く終わらせたい」「とりあえず解き始めたい」と問題文をよく読まずに解きがちです。  問題文に無駄な文章は一切ありません。全ての文章に必要な情報が入っています。にもかかわらず、多くの子供はそれっぽいところだけを拾い読みしたり、最後の一文「〜〜を求めよ」だけを読んで解き始めてしまうのです。  算数が得意な子は「この問題を解きたい!」という気持ちが強く、問題文を最後まで読み、条件の見落としが少なくなります。

滝澤幹

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