“見てないと皆サボる国”防衛ストラテジー『The King is Watching』リリース初日から人気沸騰中。「監視」のうまさが物を言う、サボり魔だらけ滅亡秒読み国家運営

tinyBuildは7月21日、Hypnoheadが手がける王国運営ストラテジーゲームThe King is Watchingをリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。本稿執筆時点でゲーム内は日本語表示に対応していないが、日本語対応予定であることが告知されている。本作はリリース初日から大盛況となっている。

『The King is Watching』はローグライト要素のある国家運営・防衛ストラテジーゲームである。プレイヤーは王として国を運営し、外敵から守ることになる。国土は正方形25マス分だ。このマス目に井戸、小麦畑、兵舎、市場などの施設を作り、資源を獲得したり兵士を育成したりしていく。ところが、本作の国民はとてつもなく怠惰である。プレイヤーは25マスの国土のうち数マスをカバーできる「目」を持っているが、この目を向けている間だけしか施設が機能しないのだ。それでも外敵は否応なしにやってくる。効率的な配置と視線を管理する戦略的な国家運営を味わえるだろう。

現在所持している資源の量は画面下部で確認できる。水、木材、小麦、石、石炭、銀など、さまざまな資源が存在し、それぞれ異なる施設により入手することが可能だ。たとえば小麦畑に目を向けている間は、時間経過とともに小麦が少しずつ増えていくといった具合である。常に残りの資源量に気を配りながら、必要な位置に目を向けることが重要となる。特定の資源が不足したり、過剰にならないよう、うまく視野に収められるような配置の工夫も不可欠だ。

また、防衛のために兵士を育成するには兵舎が必要となる。兵舎に目を向けている間は訓練がおこなわれ、比較的長い時間をかけて1人ずつ兵士が一人前になっていく。兵舎は保持できる兵士の数の上限にも関わっており、多くの兵士を運用するには複数の兵舎が必要となる。国土は25マスしかないため、軍備増強は生産性とのトレードオフにもなる。バランスをどのように取るか、プレイヤーの判断が問われるところだ。

時間が経つとモンスターなどの外敵がやってくる。戦闘は訓練しておいた兵士たちにより、基本的に自動でおこなわれる。また、一部の施設は外敵への攻撃能力も持っているため、兵舎とは別に建設してみるのも良いだろう。ゲームが進行すると範囲指定の強力な魔法を使うなどして介入も可能となるが、言わば切り札のようなものである。無事に外敵を退けたら報酬が獲得でき、次の敵の襲来に備えることになる。

ゲーム中にはさまざまな選択が求められる。獲得する魔法の効果は攻撃か弱体化かといったローグライト的な報酬選択のほかに、予言者による敵の選択なども存在。弱い敵しか来ない運命を選べば安全だが報酬は少なく、強い敵が来る運命を選べば獲得できる報酬も増えるがより危険となる。こうしたさまざまな選択に加え、施設の配置と資源管理、兵士数上限や視野の広さなどのアップグレードの何を優先するかといった、数々の判断が王国の運命を左右する。

王国を無事に守りきるか、滅ぼされるかしたらゲームは終了だ。本作には次のゲームへ持ち越せるアップグレード要素が存在しており、何度も国を守りながら、より強力な敵を打ち倒せる、より素晴らしい王を目指すことができる。

そんな本作はリリースからさっそく多くのプレイヤーを集めている。リリース初日のピーク時には4746人のSteam同時接続プレイヤー数を記録した(SteamDB)。レビューも好調で、本稿執筆時点で約200件のSteamユーザーレビューが寄せられており、そのうち90%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。本作はリアルタイムな国家運営の戦略性はもちろんのこと、目を向けている部分だけが機能するという視野管理により、状況を把握して常に積極的に介入するという独特のプレイ体験が可能となっている。レビューの多くはそんな視線管理に新鮮なおもしろさを見出しているようだ。

ちなみに本作のデモ版は約1200件のうち96%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得していた。リリース後にやや不評レビューの割合が上がったかたちだが、これは「中断セーブ機能がない」ことが主な理由となっているようだ。中断セーブは次のアップデートでの実装が予告されているため、今後はより評価が高まっていくものと思われる。

本作を手がけたHypnoheadは、セルビアを拠点とするインディーゲームデベロッパーだ。過去には原子炉を爆発させないように管理するマルチタスク忙殺シミュレーションゲーム『Save the Reactor』をリリースしており、こちらも「非常に好評」ステータスを獲得している。次々と押し寄せるマルチタスクに対処するようなゲームデザインは本作でも健在。同スタジオの持ち味と言えるだろう。

『The King is Watching』はPC(Steam)向けに配信中。現在はリリース記念セールを開催中で、7月29日までの期間限定で定価の10%オフとなる税込1530円で購入可能だ。

関連記事: