ニンテンドースイッチ2、発売1か月で150万台突破…初代やプレステ2を超え史上最高ペース
任天堂の新型家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の国内販売が、6月5日の発売から約1か月で150万台を突破し、史上最多ペースの売れ行きとなっていることがわかった。集計したゲーム情報メディア「ファミ通」が、読売新聞の取材に明らかにした。需要に供給が追いつかずに品薄が続き、高額で取引されるケースも増えている。(寺田航)
初代の3倍ペース 価格戦略奏功
「ニンテンドースイッチ2」の販売の様子(6月、東京都豊島区のビックカメラ池袋本店で)=後藤嘉信撮影ファミ通は、量販店など全国約3000の協力店などから売り上げデータを収集しており、スイッチ2発売5週目まで約1か月の販売台数は153万826台だった。同期間のゲーム機の売れ行きとしては、集計を開始(1996年)して以降、過去最高だった。
「ニンテンドースイッチ2」のメディア向け体験会(4月、東京都渋谷区で)=野口哲司撮影同じ5週目では、2001年に任天堂が発売した「ゲームボーイアドバンス」の136万7434台、04年発売の「ニンテンドーDS」の126万9845台、ソニーが00年に発売した「プレイステーション2」の113万4862台を大きく上回る。55万6633台だった初代「スイッチ」(17年発売)の約3倍のペースで売れている。
家庭用ゲームソフトの月間売り上げ本数(パッケージソフト)でも、スイッチ2とセット販売しているレーシングゲーム「マリオカートワールド」(118万5113本)が早くもミリオンセラーを達成するなど、相乗効果も生まれている。
ゲーム機は発売から1か月までの初動が、その後の売れ行きの大勢を決めると言われる。
スイッチ2は、初代に比べ、ディスプレーが一回り大きくなり、処理性能などが向上したものの、形状は似ており、機能面でも、大幅な刷新に踏み切ったとは言いがたいモデルだ。それでも、競争力の高さが際立つ。物価高の中で、日本語・国内専用モデルは4万9980円(税込み)と、米国市場向けモデル(約6万6000円)より1万円以上安く設定した価格戦略が奏功し、販売を後押しする要因になっているとみられる。
任天堂は、初年度の販売台数の目標を1500万台としている。7月以降、アクションゲーム「ドンキーコングバナンザ」など、スイッチ2向けの新作ソフトも販売を予定する。稼ぎ時となる年末商戦向けには、人気シリーズの「ポケモンレジェンズZA」の投入も計画しており、今後も順調な伸びが期待できそうだ。
品薄続き 高値で売買
販売の好調に伴い、足元ではスイッチ2の品薄傾向が続いている。任天堂の古川俊太郎社長は6月の株主総会で、「多くの国で供給を上回る需要がある。生産や供給の体制を整え、少しでも多く届けられるように努める」と述べ、株主らに理解を求めた。
スイッチ2を購入するための公式抽選はこれまでに4回実施されている。現在は5回目の応募受け付け中で、当選しても商品が手元に届くのは9月以降となる見通しだ。一部の量販店でも6月下旬から店頭販売を始めているが、ほとんどが限定販売にとどまっている。
品薄解消のめどがなかなか立たない状態を受け、高額な取引が横行している。フリーマーケットアプリ大手のメルカリでは7月14日時点で、スイッチ2の国内専用モデルが、通常価格より3割程度高い6万円台で出品されている。東京や大阪に拠点がある中国系の電子機器買い取り店は、スイッチ2の多言語対応モデル(6万9980円)を、1万5000円の上乗せ価格で買い取っている。
これまでのゲーム機販売では、品薄が長く続くことが価格高騰につながり、結果として消費者の購買意欲が落ち、販売が思うように伸びなかった事例もある。
各国にサプライチェーンのある任天堂にとっては、米国の関税政策による影響を避けつつ、供給体制をいかに拡充できるかが問われそうだ。