トランプ米大統領、国家安全保障会議の3人解任

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アメリカのトランプ政権が3日までに国家安全保障会議(NSC)の関係者を少なくとも3人解任していたことが、明らかになった。ドナルド・トランプ米大統領は3日、大統領専用機で記者団に「いつでも人を解雇する。こちらが気に入らない相手や、我々を利用する者、あるいは別のだれかに忠誠心を持っている者が対象になる」と述べたが、今回誰を解任したか名前は明らかにしなかった。

NSCスタッフの解任理由は不明だが、2日にトランプ氏が極右活動家ローラ・ルーマー氏と会談後の決定だった。

ルーマー氏はトランプ大統領に対し、大統領の政策を支持していない疑いのある特定スタッフの解任を求めたとされている。今後も、政府職員の解任が予想される。

ホワイトハウスはBBCの取材に対し、NSCは「人事についてはコメントしない」と回答した。 BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、3日にNSCから解任された中には、情報担当のブライアン・ウォルシュ上級部長、立法問題担当のトーマス・ブードリー上級部長、テクノロジーと安全保障問題担当のデイヴィッド・ファイス上級部長などが含まれる。

トランプ政権については3月末、政府幹部がイエメン空爆に関する情報のやり取りを民間アプリ「シグナル」で行い、不用意にジャーナリストを招いていたことが明らかになり、大きな問題になっている。今回のNSCスタッフ解任が、それとどう関係しているかは不明。

トランプ氏はこれまで、この問題に関係した政府幹部を擁護してきた。「シグナル」でのチャットに米誌アトランティックの編集長を誤って追加した、マイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、不用意な事故だったと説明している。

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画像説明, ルーマー氏は熱心なトランプ支持者として知られる

CBSが事情に詳しい消息筋の話として伝えたところによると、シグナルの件をきっかけに、トランプ大統領に十分同調しないスタッフの存在が精査されるようになったほか、ルーマー氏が大統領のもとを訪れたことで、スタッフ解任が決まったのだという。

消息筋によると、政権は国家安全保障問題の担当者らによる会議内容を点検し、大統領の方針に賛成しないとみられる相手と話をしていることを叱責しているのだという。

フロリダ州マイアミに向かう大統領専用機の機内でトランプ氏は3日、ルーマー氏を称賛し、会ったことを認め、「偉大な愛国者」で「非常に強い人」と呼んだ。

「彼女はいろいろな提案をして(中略)時にはそれを聞き入れることもある」と大統領は述べた。「自分は誰の意見にも耳を貸して、その上で判断して決める」のだとも説明した。

ルーマー氏はBBCの電話取材に対して、2日にトランプ大統領と会った際の内容を明かすのは「不適切」であり、「極秘の会談だった」と話した。

「この情報をもらすような人間がまだホワイトハウス内にいるのは、残念なことだ」と、ルーマー氏は述べた。

ルーマー氏はさらに「トランプ大統領と会って、私の研究結果をお見せしたのは光栄なことだ」という声明文を、メールでBBCに送ってきた。

「私は大統領の政策を支持するために引き続き尽力し、アメリカ合衆国大統領と国家の安全を守るために、(政府関係者の)厳格な審査がいかに重要かを繰り返し訴え続けるつもりだ」 とルーマー氏は書いていた。

国防総省の監察総監代行は3日、「シグナル」でのチャットに情報を投稿したピート・ヘグセス国防長官が、アプリ使用の是非と国防総省の方針を順守していたかどうかについて、調査対象になっていると明らかにした。

監察総監室は定期的に連邦政府機関を独自に調査し、機密が守られているかを調べる。 トランプ大統領は1月に就任して以来、それまでの監察官の多くを解任し、国防総省、商務省、労働省、保健省にそれぞれ代行を任命した。

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