ソニーG、今期営業益予想を上方修正-ゲームや音楽が好調
ソニーグループは13日、今期(2025年3月期)の営業利益予想を従来の1兆3100億円から1兆3350億円に上方修正した。ブルームバーグが集計したアナリスト25人の予想平均1兆3660億円は下回ったが最高益を更新する。
説明資料によると、上方修正に寄与するのはゲームや音楽事業だ。特に好調なゲームについては、従来の営業利益予想を250億円引き上げ、前年実績比で3割増となる3800億円とした。半面、映画やイメージセンサー事業は従来見通しを据え置いた。
24年10-12月期業績において、ゲームはネットワークサービスの増収が、音楽は為替の好影響がそれぞれ寄与した。同期間のプレイステーション(PS)5のハード販売は950万台と、前年同期比で約16%増になった。
十時裕樹社長は説明会で、年末商戦でのハード販売の実績は「私たちの予想より強いモメンタムだった」と振り返った。有力ソフトの発売も予定されていることから、「より良いモメンタムが来期に向けてはできると期待している」と述べた。
ソニーGは近年、コンテンツ強化の戦略に注力し、人気ソフトの映像化などにも取り組む。1月には追加出資でKADOKAWA(カドカワ)を約10%保有するなど、コンテンツ拡充のための投資にも積極的だ。ゲーム事業が好調に推移したことで、同戦略に弾みが付きそうだ。
米国モーニングスターの伊藤和典ディレクターは、ハードの台数が前年同期比で増えたことや、アクティブユーザー数が大幅増になったことは「サプライズで素直に評価できる」とした。ソフトの充実に加え、ユーザーベースの拡大がしっかり進捗(しんちょく)しており、ゲーム事業が来期、再来期と利益を伸ばし続ける予見性が高まったと指摘した。
同社は、1-3月期の想定為替レートを1ドル=150円前後(従来146円前後)、1ユーロ=158円前後(同160円前後)に変更した。
また、発行済み株式総数の0.5%、総額500億円をそれぞれ上限とした自社株買いの取得枠を設定した。取得期間は14日から5月14日まで。昨年5月に発表した2500億円の取得枠は使い切っており、追加の株主還元となる。
一方、早川禎彦執行役員は米国による追加関税措置への対応について、米国内に一定水準の戦略在庫を積み上げるなどの備えを進めてきており、現時点で今期業績への影響は軽微だと説明した。
グローバルで勝負
同社は1月末、4月1日付で十時氏が最高経営責任者(CEO)を兼務し、ゲーム事業の2トップ体制を1トップに集約するなどの新経営体制を発表した。
吉田憲一郎CEOは十時氏について、「これまでの実績、今後の長期的な成長の観点から、次のCEOとして最もふさわしいと確信している」と述べ、自身は今後経営チームをサポートしていくとした。印象に残っている合併・買収(M&A)については、18年のEMIミュージック・パブリッシング運営会社の完全子会社化を挙げた。
十時氏は今後について、「まだ足りないものや課題は挙げればたくさんある」とした上で、「グローバルで勝負していかないといけない」だと強調した。
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