柴崎岳のPK止めた山口GK田口潤人、鹿島撃破に涙「苦しい時期が続いていたのもあって…」
レノファ山口FCの5人目キッカーのPKがゴールネットを揺らすと、勝利の立役者は涙ながらに喜びを爆発させた。
試合後、目を潤ませながらフラッシュインタビューに応じたGK田口潤人は「あまり個人的なことを話すのは良くないと思うけど、今季が始まってから苦しい時期が続いていたのもあって、今日ピッチに立つことができているのは信じられないことだった」と自信のこれまでを回顧。「支えてくれたみなさんのおかげでピッチに立つことができたし、勝つことができたので、支えてくれた人に少しは恩返しができたと思う」と喜びを語った。
現在J2リーグで18位に沈む山口が、過去最多6度の優勝を誇るJ1リーグ3位の鹿島をホームに迎えた一戦。コンディション不良でシーズンを出遅れていたという田口にとって、これが今季の公式戦初出場だった。 それでも気負いはなかった。「久々の試合でもあって、緊張するかなと思ったけど、始まったら意外と冷静に相手の動きも見れていたし、味方の動きも見られていた」。そんな守護神のメンタリティと同様、フィールドプレーヤー陣も気圧されないどころかアグレッシブな姿勢で鹿島を圧倒。序盤から優勢に試合を運んでいた。すると後半19分、山口は敵陣左サイドで獲得したFKでトリックプレーを繰り出し、フリーでゴール前に飛び込んだ日本体育大出身ルーキーのMF小澤亮太のプロ初ゴールで先制に成功する。その後は鹿島が投入してきたFW鈴木優磨、FWレオ・セアラら強烈な攻撃陣に押され、同36分にはFW師岡柊生の同点ゴールを喫するも、同点のまま焦りを見せずにに粘り強く試合を進め、延長戦、そしてPK戦へと持ち込んだ。
PK戦では苦悩を乗り越えた守護神が大仕事を成し遂げた。両者成功が続くまま迎えた後攻・鹿島の2人目キッカーは元日本代表MF柴崎岳。1人目のレオ・セアラにタイミングを外されていた田口だったが、ここでは見事に修正した。
「柴崎選手はもうみなさんご存知の通り、テクニックがある選手なので、早く動きすぎないで、逆を取られないようにだけ意識した。あとは自分が信じたコースに飛んで、ボールに喰らいつくだけだった」。迷わず左に横っ飛びを見せると、がっちりとセーブ。その後、山口はキッカー全員が成功させ、鹿島との初対戦で歴史的なジャイアントキリングを果たした。 試合後、田口は「カップ戦はどういう形であれ勝つことがいいこと。力がある、日本を代表するトップチームの鹿島アントラーズに勝てたというのは本当に自信になる」と喜びを表現。「リーグ戦が難しい期間が続いているので少しでもこの勝利が上向くきっかけになれば」とリーグ戦での奮起にも意欲を見せた。 また最後に「苦しい時間帯に皆さんの声援が聞こえた。つっている選手もいたけど、僕も含めてみんなで踏ん張れた。皆さんに勝利を捧げたい」と述べ、平日ながら4000人以上が詰めかけたホームのサポーターに感謝した。なお、この一戦のフラッシュインタビューでは山口の志垣良監督も田口のパフォーマンスに言及。「潤人に関しては今季はコンディションを崩して出遅れた部分があって本人が苦しい思いをした中で、チームメート、スタッフ一同支えながらやってきた中、本人がいい形でピッチに戻ってきてくれた」と田口の努力を讃えつつ、「苦労の数だけ人は成長すると思う」「神様は見てくれているんだなと思います」と喜びをにじませていた。
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