「監督も選手も超親切だった」なでしこジャパン取材ブラジル人記者が感激した“品格と質”「コガはまるでトミヤス」「セイケは“厄介”」(Number Web)

――第1戦、なでしこはブラジルのパワーとスピードに圧倒された感がありました。 「現象としてはそうなんだけど、長旅の疲れと12時間の時差の影響が大きかったと思う。2023年末のブラジル遠征でも、なでしこは最初の試合で苦しんだ(3-4で敗戦)。しかし、2戦目では疲労と時差の問題をほぼ克服し、見違えるようなプレーを見せた(2-0で快勝)。  男女を問わず、日本代表が外国の代表を国内へ招いて強化試合を行なうと、相手チームは長旅の疲れと時差の影響で実力を十分に発揮できないよね。それと同じことが、日本のチームが外国へ遠征すると起きる」 ――ただし、2023年のブラジル遠征の最初の試合では、敗れたとはいえ、なでしこは2点のビハインドを跳ね返して一度は追いつく健闘を見せました。しかし、今遠征の初戦はそうはならなかった。 「その理由は、2024年以降のブラジルの成長にあると思う。2027年W杯の誘致に成功し、パリ五輪で銀メダルを獲得して、ブラジルは急速に強くなっている。なでしこだって、昨年末に就任したニルス・ニールセン監督がチームをしっかり掌握し、成長を続けているんだけどね」

――ここからは試合内容から評価していきましょう。第1戦で収穫があったとすれば?  「後半途中から出場した若手と中堅が、伸び伸びとプレーした。特に、チーム唯一の得点の起点となった籾木結花、シュートを決めた清家貴子は自信を付けたと思う」 ――第2戦、ニールセン監督は先発メンバー6人を替えました。 「中2日の試合であり、大幅なメンバー変更を行なったは当然。初戦で途中から出場して良いプレーを見せた清家、籾木、松窪らを先発させたのは適切だったと思う」 ――CBには、経験豊富な熊谷紗希と南萌華の代わりに19歳の古賀と21歳の石川を先発させました。 「熊谷は長年、守備の要となっているけれど、いずれは代わりのCBを用意しなければならない。その意味で、古賀は十分に期待に応えたと思う。彼女は守備ができて、パスを出せるから、サイドバックもCBもできる。男子の冨安健洋のような存在だね。石川も不運なオウンゴールはあったけれど、良いプレーを随所に見せた」 ――2人は、代表でコンビを組むのは初めて。でも、若手時代、JFAアカデミー福島で一緒にプレーしていたそうです。 「道理で、息が合っていたはずだ」 ――オウンゴールの場面は、ブラジルが左CKをゴール前の絶妙の位置に蹴り、計8人が密集。GK山下杏也加がボールに触れず、ゴール前へ戻った石川の体に当たったものでした。 「山下は、初戦の前半に体の正面へのシュートを弾いて得点を許した。この試合でも、このミスが失点に結びついた。とはいえ、この2つのミスを除くと、素晴らしいセーブをしていたし、正確なフィードで攻撃の起点ともなっていた。クラブ(マンチェスター・シティ)でも良いプレーを続けており、現時点で日本最高のGKであることに変わりはないと思う」


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――ちなみに、なでしこジャパンの試合だけでなく練習も取材したそうですね。 「そうなんだ。パルメイラス(サンパウロの名門クラブ)のトレーニングセンターで行なわれた練習へ行ってきた。選手たちに話を聞き、ニールセン監督やコーチングスタッフにも挨拶をした。皆さん、とても親切で、丁寧に応対してくれて感激した」 ――新監督の元で、なでしこの強化は順調に進んでいると考えていいでしょうか?  「そうだと思うよ。とはいえ、世界中で女子のフットボールは人気と注目度が高まっており、ブラジルのように急激に力を付けている国もいる。なでしこも、引き続き全力で強化を進めてもらいたい」  チアゴ記者は、日本の男子のみならず、女子のフットボールにも非常に詳しい。今回も、日本と日本のフットボールへの愛情がたっぷり感じられるコメントを伝えてくれた。〈第1回からつづく〉

(「熱狂とカオス!魅惑の南米直送便」沢田啓明 = 文)

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