3-0の完勝でJ1残留を確定させる。 京都戦に臨むマリノスに迷いは一切なかった。試合の潮目は朴一圭の連続ファインセーブ [J36節 京都戦レビュー]

試合の潮目は朴一圭の連続ファインセーブ

試合後、井上健太が開口一番に言った。

「今日で残留を決めるという強い気持ちを全員が持っていた。サポーターも自分たちの力を引き出してくれて、感謝している」

前日、横浜FCが鹿島アントラーズに敗れ、このゲームに勝利すれば自力でJ1残留を掴み取れるシチュエーションが生まれた。どんな結果でも有利な状況に変わりはないが、古都に乗り込んだ選手たちは目の色が違った。

井上の言葉通りに立ち上がりからマリノスの集中力は高かった。雨でぬかるんだピッチもなんのその。球際の戦いでハードワークをウリとする京都サンガF.C.に一歩も引かず、ゴール前では全員が身体を張って守る。

17分と18分には朴一圭が連続ファインセーブでピンチを救う。先制点を奪われていれば展開は大きく変わっていただけに、振り返ってみればここが試合の潮目だったのだろう。流れをグッと引き寄せた。

植中朝日が獲得したPKは、ジョルディ・クルークスのシュートが相手GKに阻まれてしまう。しかしマリノスは気落ちしない。特にPK失敗が尾を引いても不思議ではないクルークスが、誰よりも気を吐く。

35分、井上が獲得した左サイドからのFK。クルークスの乾坤一擲のキックがゴール前に走り込んだ谷村海那の頭を正確にとらえる。「ジョルディのキックは完璧で、入り方も狙い通りで、ボールも完璧で決められた」。今夏加入したストライカーの6ゴール目で先制に成功した。

泥臭さ満点で、心の中で何かを割り切らなければ成立しないサッカーだ。でも浦和レッズとサンフレッチェ広島に連勝したマリノスに迷いは一切なかった。シーズン序盤のように手探り状態で試行錯誤を続けていた姿は、どこにもない。それが一番大きかった。

天野純の追加点、植中朝日のダメ押し点

後半に入り、勝つことでしか優勝の可能性を残せない京都サンガF.C.が前への圧力を強めていくのは想像に難くなかった。実際に、51分にマルコ・トゥーリオが放ったシュートは際どいコースへ飛んでいた。朴一圭が指先で触れていなければこの先どうなっていたことか。

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