フェラーリ会長「口数を減らして集中すべき」ハミルトンとルクレールに異例の批判

スクーデリア・フェラーリのジョン・エルカーン会長が、ダブルリタイアに終わった2025年F1サンパウロGPの結果を受け、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールに対し「口数を減らして集中すべき」と異例の苦言を呈した。

フェラーリはブラジルで惨敗し、コンストラクターズ選手権で2位から4位に転落。一方、同じ週末に行われたFIA世界耐久選手権(WEC)ではタイトルを獲得した。エルカーンの厳しい発言の背景には、この対照的な結果がある。

「水準に達していない」ドライバー陣に矛先

Courtesy Of Ferrari S.p.A.

フェラーリのGT部門を率いるアントネッロ・コレッタとジョン・エルカーン会長、2021年12月20日イタリア・マラネロ

米有力紙『New York Times』によると、エルカーンはイタリア五輪委員会が主催する「ミラノ・コルティナ2026年冬季五輪」関連イベントで、ブラジルでの結果を「大きな失望」と評した。

一方で、チーム運営とマシン性能の改善には一定の評価を与えた。「F1の今季を見れば、メカニックたちはピット作業などの面で選手権を勝てるレベルの働きをしている。エンジニアもクルマを確実に進化させてきた」

その上で「だが、その他の部分は水準に達していない」と断じ、その矛先をドライバーに向けた。

「ドライバーたちはもっと(ドライビングに)集中し、口数を減らすべきだ。なぜなら、まだレースは残っているし、コンストラクターズ2位を獲得することは不可能ではないのだから」

今季のフェラーリは21戦を終えて未勝利。「SF-25」はプランク摩耗の問題に悩まされ、車高を高く設定せざるを得ない状況が続く。アップグレードを重ねても根本的な課題は解消されず、クルマの競争力はサーキットによって2〜4番手を行き来している。

WEC制覇との対比で「団結の欠如」を指摘

エルカーンがF1チームを厳しく批判する背景には、スポーツカー部門の圧倒的な成功がある。同じ週末、フェラーリはWECでタイトルを獲得。今季はル・マン24時間レースでも総合優勝を果たしている。

エルカーンはこの成功を「フェラーリが一つにまとまった時、偉大な成果を成し遂げられることの証明だ」と強調し、暗にF1チームの団結不足を批判した。

この「団結していない」という批判が、ドライバー個人に向けられたものか、チーム全体の運営に向けられたものかは不明だが、強い警告であることは確かだ。

ハミルトンとルクレール、それぞれの苦境

名指しで批判された二人のドライバーは、ぞれぞれ厳しいシーズンを送っている。

シャルル・ルクレールは直近3戦で予選トップ3に入る速さを見せながらも未勝利が続く。一方で、クルマの性能不足に対する不満を口にしており、2026年のマシン開発にも懸念を示している。

一方、ルイス・ハミルトンはエルカーン自身が主導して獲得した大物だが、移籍初年度は「悪夢」と形容するほどの苦戦を強いられている。シーズン序盤の中国スプリントで優勝して以降は不振が続き、サンパウロではフランコ・コラピントとの接触を経てリタイア。結果が伴わない日々が続く。

F1サンパウロGP特集

関連記事: