ロシアとウクライナの停戦:クズ国家でもウクライナを支援しなければならない理由
以前から申し上げておりましたが、ロシアがある程度占領地を維持した上で停戦となるでしょう。それは多分本年中です。
ゼレンスキー大統領インスタグラムより
それは大局的、戦略的な環境からみればわかる話です。よく「専門家」が出てくる情報を鵜呑みにしてウクライナの戦争を語りますが、よく間違えます。それは両陣営更にそれをサポートしている陣営がプロパガンダ合戦をしており、リークされる情報に相当フェイクが含まれているからです。英国防省の発表も相当バイアスがかかっています。
絶対的な国力ではロシアが上です。人口も然りです。ウクライナに長年戦線を維持する兵力を確保できるはずがない。かといってテコ入れするNATOが派兵するわけでもない。投入できる兵力差は歴然です。
そして「専門家」が見誤ってきたのは、ロシアのしぶとさです。まずどれだけ損害を出してもロシアは被害や痛みに鈍く、耐えられます。それは過去の戦争をみてもわかるはずです。ところが「専門家」の多くはそれを見誤った。
そしてエンバーゴは対して効かない。無論全く効かないとはいいませんが、実効力は相当に低い。冷戦時南アフリカへの国際社会のエンバーゴは大変きびしかったですが、それでも南アは耐え抜いて逆に軍事産業は大発展した。これはイスラエルと同盟関係にあったし、ソ連に対抗するため欧米も陰日向に助けてきた。その中には日本も含まれていた。撤退していたトヨタだって毎月人間を現地に派遣していた。
そしてエンバーゴは主として西側先進国であり、世界の半分は参加していないから実効力は相当低いわけです。ロシアは資源国だし、自国で兵器も開発生産できるわけです。
しかも兵器のコンポーネントや兵器は中国、北朝鮮、イラクなどから調達できます。戦闘力が継続できるのは自明の理です。
そしてトランプの件をおいておいても、永久に巨額の軍事援助を西側が続けられる余裕はありません。
そして我々はなぜウクライナを支援しないといけないのか?
ウクライナがいい国だからではありません。はっきり申し上げてクズ国家です。
ウクライナは豊潤な穀倉地帯や地下資源、世界最大の輸送機を作れるような、それなりに工業をもっていたのにずっと最貧国でした。それはマフィアが政治や経済を牛耳って搾取してきたからです。一貫してウクライナは腐敗国家でした。アフリカの最貧国と同じです。
しかも現政権につながる親西欧政権は平和的に成立したものではありません。それまでの親ロシア政権を武力で打倒しました。しかもその勢力は民主的とは言えないごろつきや、マフィア、が相当入り込んでいました。それを西欧諸国は影から支援してきました。
ところが多くの西側マスメディアや国家は親西欧というだけで、あたかもウクライナの新政権を歓迎、支持しました。これはイラク戦争、コソボ空爆、アラブの春などと同じ西欧諸国政府とマスメディア、特にリベラル系マスメディアに責任があります。
ロシアの侵略は是としませんが、仮に暴力革命による親西側政権の樹立、それも西欧諸国の支援による作為がなければプーチンがウクライナ侵攻をしなかった可能性もあるでしょう。それは否定できないかと思います。
ロシア人は猜疑心が強い上に、大変臆病な国民性があります。緩衝地帯だったウクライナが西側の一部となれば安全保障上大きな脅威と彼らは考えます。
ウクライナに対する支援は少なくないパーセンテージがマフィアや悪徳官僚に中抜きされているでしょう。まあそれは電通やパソナと同じといってしまえばそれまでなんですが。
本当に必要なものが軍や国民には届いてないということになります。つまり穴の空いたバケツで水をかけているようなものです。
これは停戦合意がなされて復興支援がなされても同じです。復興に協力する日本企業はマフィアとも付き合わざるを得ない。
人ごとだからといえばそれまでですが、どうせマフィアに搾取される貧乏国で人権もまもられないならばロシアの一部でも構わないと考えるウクライナ人も少なくないでしょう。搾取するのがマフィアかプーチンかの違いです。それは国外に脱出したウクライナ人が多いことからも伺い知ることができます。
にも関わらず、我々はウクライナを支援しないといけないのか。それはロシアにやり得の成功体験を与えないためです。併せてロシアの国力を削り取るためです。そのため費用は国際社会の安定のための投資といえるでしょう。とは言え我が国も相当の国家財政の赤字があるからおいそれと巨額の援助はできません。
援助にしても復興にしてもマフィアの関与に対する非難や、排除をウクライナ政府に迫るべきですが、どこの国もやっていません。本来援助するのであればそれをセットで要求すべきです。
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