日米合意で経済の不確実性低下、5月展望リポートと構図は不変=内田日銀副総裁

 7月23日 日銀の内田真一副総裁は23日、高知県金融経済懇談会後の記者会見で、関税を巡る日米交渉の妥結を「大変大きな前進」とし、日本経済や日本企業にとって関税を巡る不確実性の低下につながると評価した。写真は2024年3月、都内の日銀本店で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[高知市 23日 ロイター] - 日銀の内田真一副総裁は23日、高知県金融経済懇談会後の記者会見で、関税を巡る日米交渉の妥結を「大変大きな前進」とし、日本の経済や企業にとって不確実性の低下につながると評価した。ただ、5月の展望リポートでは各国間の交渉のある程度の進展を前提に予想を作成しており、「その大きな構図に違いがあるわけではない」と述べた。

米国の関税措置について、日本以外の国や地域の交渉が続いていることや関税の影響がはっきりしないことから「不確実性は残っている」とし、引き続きダウンサイドリスクもみないといけないと指摘した。その上で、緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかり支えていく必要があると述べた。

内田副総裁は午前のあいさつで、各国の通商政策やその影響を巡る不確実性が「極めて大きい」との認識を示し、こうした局面での金融政策は経済・物価の安定の観点から「上振れ・下振れ双方向のリスクに対して、最も中立的な立ち位置に調整していく必要がある」と述べた もっと見る 。会見では、この発言は一般論を述べたもので、現在の局面での政策対応の必要性を述べたものではないと説明した。

参議院選挙では与党が過半数割れとなる中、野党各党が物価高対策として消費税減税などを主張した。内田副総裁は、財政拡張が景気を押し上げる、個人消費を支える要素にはなり得るものの「基本的には、個人消費が底堅いがそれほど強くないという状況でさまざまな政策対応が議論されてきているのが現状ではないか」と述べた。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: