眼科検査では異常なし。でも見えづらい。急増する『スマホ老眼』の正体とは|医師が解説(ヨガジャーナルオンライン)

「眼科で検査したら“問題なし”って言われたのに、近くがぼやけるんだよなぁ…」そんな声が、この数年で本当に増えました。いま話題になっているのが “スマホ老眼”。 名前のインパクトが強いですが、実際は年齢に関係なく起きます。医師が解説します。 〈画像〉眼科検査では異常なし。でも見えづらい。急増する『スマホ老眼』の正体とは|医師が解説 ■目は悪くないはずなのに…ピントが合わない “あの感じ” の正体 20代でも30代でも、近くを長時間じーっと見る生活をしていると、目のピント調整に関わる筋肉(毛様体筋)が疲れて固まり、老眼に似た“見えづらさ”が出てしまう——これが本質です。 老眼というと「40代以降の話でしょ」と思われがちですが、最近は“使いすぎによるピント機能のヘタり”が若い世代に急増しています。ある意味、スマホがもたらした“現代病”のひとつと言えるかもしれません。 ■症状が意外とリアル ■■近くがぼやける、目が重い、夕方になると見づらい スマホ老眼でよく聞くのは、こんな症状です。 近くの文字がやたら読みづらい スマホを少し離すと見やすくなる 夕方になると一気にピントが甘くなる 目の奥がズーンと重い 頭痛や肩こりがセットで出ることも 眼科に行くと「視力は問題ありません」「網膜もキレイですよ」と言われることが多い一方、本人は「いやいや、絶対見えづらい」と感じる。 実はこれ、“目の構造”が悪いわけではなく、“目の筋肉の働き”が落ちているのがポイントなんですよね。 ■■ある20代女性のケース 在宅ワークで1日10時間以上パソコンとスマホを見続けていました。夕方になると急に文字がぼやけて、思わず目を細めるクセがついていたそうです。 休憩を増やし、画面との距離を40cm以上に保つようにして数週間過ごすと、「あれ…最近ぼやけないかも」と驚いていました。 つまり、原因は老化ではなく酷使。だからこそ、対策すればちゃんと戻りやすいのがスマホ老眼の特徴です。 ■スマホ老眼を防ぐ・改善する“目の整え方” “治す薬”というより、生活習慣をちょっと変えるだけでけっこう改善します。 ① 20-20-20ルールを習慣にする 20分画面を見たら、20フィート(約6m)先を20秒見る。目の緊張がゆるんで、毛様体筋がいい感じにリセットされます。 ② スマホは顔から30~40cm離す つい近くで見てしまう人は、腕を伸ばす習慣をつけるだけでも効果大。子どもも大人も距離が近いほど疲れやすくなります。 ③ ブルーライトを避けるより、“視線を下げすぎない”が大事 意外かもしれませんが、目の疲れに強く影響するのはブルーライトより“姿勢”。顔を下に向けると目の負担が跳ね上がります。スマホを胸の高さより少し上にする、ノートPCはスタンドで高さを上げるなど、視線の角度をゆるく保つことがポイント。 ④ 湿度を保つ・まばたきを意識する 集中するとまばたきの回数が半分以下に。ドライアイになるとピントが乱れやすくなるので、加湿器や人口涙液も有効です。 “目を治す”というより、“目を労わる”。 ほんの少しの積み重ねで、スマホ老眼はちゃんと改善していきます。 ■まとめ ・眼科で異常なしと言われても、近くがぼやけることはある ・原因は目の筋肉の疲れ。年齢に関係なく起きる ・スマホ・PCの長時間使用が引き金 ・画面の距離、姿勢、休憩の入れ方が改善のポイント “見えづらさ=年齢のせい”ではありません。スマホが手放せない時代だからこそ、目のメンテナンスもセットで考えていきたいですね。 今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。 文/甲斐沼孟(医師)

甲斐沼 孟

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