【欧州市況】国債が軒並み下落、新発の英10年債に記録的需要
2日の欧州債市場では、世界的な債券安を反映して欧州各地の国債が売られた。大量の発行と財政赤字に対する懸念が続き、とりわけ超長期債が売り圧力にさらされた。
ドイツ10年債利回りは一時5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して2.80%と、3月以来の高水準を付けた。
ユーロ圏内ではイタリア債の下げが目立った。同国はこの日、シンジケート団を通じて7年債を130億ユーロ(約2兆2450億円)、30年債を50億ユーロ発行し、需給が悪化した。10年物のドイツ債とのスプレッドは3bp拡大して89bpと、7月上旬以来の大きさとなった。
英30年債利回りは一時8bp上昇して5.72%と、1998年以来の高水準。ただ、シンジケート団を通じて売り出した10年債(クーポン4.75%)は、140億ポンド(約2兆7800億円)の発行額に対して買い注文は1410億ポンドを超え、過去最高の需要を集めた。
世界最大級の資産運用会社バンガードも、この債券を購入したと明らかにした。
同社の国際金利責任者アレス・クートニー氏は「きょうの10年債売り出しでは、かなりのポジションを加えた」と説明。
ネッドグループ・インベストメンツの債券責任者デービッド・ロバーツ氏は「全員が売っている時こそ、買い時だ」と主張。「英国債利回りは1990年代以来の高水準だ。言い換えれば、約30年間で最も高い潜在的なリターンがあると言うことだ。年6%近い利回りがあるのなら、キャピタルロスが多少出ても許容できる」と語った。
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株式はストックス欧州600指数が1.5%安と、1カ月ぶりの大幅安。週後半の重要な米経済指標を控え、債券利回りの上昇がリスク志向をしぼませた。
英内需株が中心のFTSE250は2.2%下落。一方、フランスのCAC40は0.7%安と下げが比較的小さかった。中国の消費者が戻ってくるとみて高級品グループの投資判断をHSBCが買いに引き上げたため、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンやケリングなどが上昇し、指数を下支えした。
9月2日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.1644 1.1711 ドル/円 148.30 147.18 ユーロ/円 172.68 172.36 株 終値 前営業日比 変化率 ストックス欧州株600 543.17 -8.26 -1.50% 英FT100 9,116.69 -79.65 -0.87% 独DAX 23,487.33 -550.00 -2.29% 仏CAC40 7,654.25 -53.65 -0.70% 債券 直近利回り 前営業日比 独国債2年物 1.97% +0.02 独国債10年物 2.79% +0.04 英国債10年物 4.80% +0.05原題:European Stocks Fall by the Most in a Month as Bond Yields Rise(抜粋)
European Bonds Swept Up In Global Selloff: End-of-Day Curves、UK Raises Record at 10-Year Sale as Higher Yields Boost Demand(抜粋)