アングル:AI相場で広がる物色、日本勢に追い風 日経平均にリスクも
[東京 13日 ロイター] - AI(人工知能)相場が新局面を迎えている。これまでは米ハイテク大手の投資が脚光を浴びてきたが、その収益モデルの確立が途上にある中で、投資の果実を先に得るのはハード(物理的な機器)分野との見方が出ている。製造業を中心に日本勢にとっては追い風とみられるが、物色の裾野がさらに拡大する中で、関連銘柄の調整時には相場全体を押し下げるリスクも生まれている。
<関連株の反応に明暗>
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、物色の矛先が「AIに『投資する側』から、その『投資の恩恵を受ける側』に移ってきているのではないか」との見方を示す。
「ゴールドラッシュで本当に儲けたのは採掘者ではなく、シャベル(などの道具)を売った人だった」という市場のアナロジーを、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは足元のAI相場になぞらえる。
データセンター投資を受けて「エヌビディアやアドバンテストは儲かるが、AIサービス会社がすべて儲かるかは別の話」だとして、投資家が今後、冷静な見方になれば、物色の対象は「投資する側」と「投資の恩恵を受ける側」とで2極化していくと井出氏はみている。
<インフラ関連も物色>
こうした物色の広がりについて、岩井コスモ証券の投資調査部部長・有沢正一氏は「『期待』だけではなく業績に基づいた『実弾』的な買いが入っている」との見方を示す。「日本の主力株はAIのインフラに絡んでいる企業も多い。AIは息の長いテーマで材料も豊富なため、循環的に買われる下地はできている」(GCIアセットマネジメントのポートフォリオマネージャー・池田隆政氏)との声が聞かれる。
<反転リスクの高まりも>
もっとも、今年の年明けにみられたディープシーク・ショックのように、技術進歩によりAIへの巨額投資が不要になるとの見方が浮上すれば「調整のきっかけになりかねない」(池田氏)との指摘がある。
日経平均構成銘柄のうち、関連があると目される銘柄群の構成比(ウエート)を積み上げると、日経平均全体の約4割を占める。三菱UFJアセットマネジメント・エグゼクティブ・ファンド・マネージャーの石金淳氏は「AI投資の裾野が広がっているだけに、(AIを手掛かりにした)調整時は揃って売られるリスクがあり、日経平均を押し下げそうだ」と話している。
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