Gemini 3.0 Proを使ったら知識ゼロでもAndroidアプリが作れた【Watch+】
AIを使った開発環境はどこまで進んだのか。最近Googleがリリースした「Gemini 3.0 Pro」と、Google AI Studioを組み合わせてAndroidアプリを作ってみました。結果から言うと、できあがったものは想像以上に実用レベルです。
もともとGemini 2.5 Proを使って、業務効率化ツールやゲームのようなアプリを生成していました。その段階でも十分に実用的でしたが、3.0 Proでは動きがさらに変わったことがわかりました。
これまではWindows上で動くアプリを作らせていましたが、3.0 ProではAndroidアプリ(PWA)に挑戦しました。Android Studioのみ事前にインストールしてデバッグできる状態にしておきました。パーソナルアシスタントでは家族内で使うことを想定して以下のような機能を実装してみました。
- カスタマイズできるダッシュボード
- 天気予報(現在+週間)
- ゴミ出しなど生活リマインダー
- ToDo・メモ管理
- ニュースフィード
- 興味に合わせて記事を自動選別
- 普通に話しかけるだけで調べ物や案内
- 「近くのカフェ」など検索結果をカード表示
- 気になった情報を「記憶」させられる
細かい機能はあれど、上記のような具合です。
開発にはGoogle AI Studioを使い、アプリ側のAIモデルにはGemini 2.5 Flashを採用。UIの設計や実装はGemini 3.0 Pro Previewが担当しました。
驚いたのは、アプリの形ができるまでに必要だった作業量です。わずか3〜4往復のやりとりでUIが完成し、半日後には日常使用できるレベルに到達しました。
必要なパーツを指定せずとも、アプリ全体の構造を理解しコードを自動生成する点が印象的でした。画面遷移、イベント処理、ボタン、API通信まで、仕様伝達でほぼ完成します。ビュー配置やライブラリインポートも自動で行なわれ、実装済みのコードが提示されるため、Gemini 2.5 Proの「とりあえず動く」レベルを超え、実用的な品質でした。
2.5 Proからの大きな進化は、コードのリファクタリングや改善提案時のエラーが大幅に改善された点です。以前のモデルでは構造化はするものの、複雑化するとコンポーネント干渉によるエラーが多発しましたが、3.0 Proでは衝突がほぼなくなりました。
これにより、「動くものを作る」から「すぐに使える状態で実装する」へと移行した印象です。家族での利用を想定し、位置情報からカフェやATMを検索する機能も試しましたが、検索結果表示、カード形式UI生成、Google Maps情報検索ロジックまでAIが最適化し、ほぼ手直し不要でした。
ただし、3.0 Pro Previewには問題点もあります。精度の高い実装は良いものの、ユーザーの問い掛けに応じず、いきなり実装する場面が増えました。2.5 Proでは実装方法や変更点を教えてくれましたが、3.0 Proでは変更点を知らせずに実装を開始するため、何がどう変わったか不明瞭です。
この挙動は作業スピード向上に繋がりますが、実装内容のブラックボックス化という懸念も残ります。開発効率重視なら魅力的ですが、ユーザーが理解しながら開発したい場面では改善の余地があります。Preview版のため今後の改善に期待していくところだと思います。現状、アプリで実装しているAIモデルは安価な2.5 Flashですが、より高度なAI機能を載せるためにはAIモデルのアップグレードも欠かせません。アプリの機能でも使えるコスト面に優れた3.0 Flashの登場にも期待したいところです。
とはいえ、ノーコード、ノー知識でこのレベルのアプリを気軽に作れるのは良い時代になったなと感じます。「アプリがなければ作れば良いじゃん」ができる時代になりました。Google AI Studio経由で発行するGeminiのAPIは学習に使われるものの無料枠が用意されているため個人レベルではコストを気にすることなく開発できるのも魅力です。ちなみに今回の開発に至ってはすべて無料枠で生成したため、金銭的コストは一切発生していません。