マイクロソフトとアマゾンを格下げ、他社と一線画す-レッドバーン
ロスチャイルド・アンド・カンパニー・レッドバーンのアナリスト、アレクサンダー・ハイスル氏は18日、米マイクロソフトとアマゾン・ドット・コムの投資判断を「買い」から「中立」に引き下げた。
ブルームバーグがまとめたデータによると、同氏が2022年6月に両銘柄のカバレッジを開始して以来、初の格下げだった。
ハイスル氏は、生成人工知能(AI)を巡る強気の見方がもはや明確ではなく、大手クラウド事業者(ハイパースケーラー)への投資には慎重であるべきだと主張した。
同氏はリポートで、クラウドコンピューティング初期と現在の生成AIを比較し、「生成AIはクラウド1.0初期と同じだ」という業界が掲げるストーリーは「ますます的外れになっている」と論じた。基礎的な経済性が「想定よりもはるかに弱い」と指摘した。
クラウドコンピューティング初期段階のクラウド1.0と現在の生成AIを比較した。
ハイテク株比率の高いナスダック100指数は10月下旬の高値から5.1%下落し、時価総額にして約1兆8000億ドル(約279兆円)が失われた。AI関連銘柄の高過ぎるバリュエーションへの警戒感から、投資家が資金を引き揚げている。
今回の判断により、ハイスル氏はアナリストの大勢と一線を画した。ブルームバーグのデータによると、両銘柄をカバーしているアナリストの9割超が「買い」に相当する評価を付けている。「売り」判断は1件もない。
テクノロジー企業各社は、AIインフラ整備のために巨額の投資を進めている。一方、画像処理半導体(GPU)やサーバーといった資産が急速に減価していくことへの懸念が投資家の間で最近高まっている。
ハイスル氏は「生成AIの利益率は減価償却期間を5-6年と想定しており、クラウド初期の3年に比べて長い」とし、「同条件で比較すると、生成AIの資本集約度は大幅に高く、価格支配力は顕著に弱い」と分析した。
2008年の世界金融危機前に米住宅市場の崩壊を予測したことで知られるヘッジファンド運用者マイケル・バーリ氏も最近、大手テック企業の資産減価についてほのめかす投稿を行っている。
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ハイスル氏はさらに、生成AI関連企業による過剰投資のリスクが高まっているとの見方も示し、生成AIは「肥大化した非効率な技術構成上で拡大している一方で、クラウド1.0は効率性を確立してから拡大した」と指摘した。
レッドバーンは、マイクロソフトの目標株価を従来の560ドルから500ドルに引き下げ、アマゾンは250ドルで据え置いた。
原題:Microsoft, Amazon Downgraded as Redburn Breaks Ranks With Peers(抜粋)