OSCE閣僚理事会、ロシア外相への非難相次ぐ

 米国などの西側諸国は12月5日、マルタでの欧州安全保障協力機構(OSCE)閣僚理事会で、2022年2月にウクライナへ侵攻して戦闘を始めたロシアのラブロフ外相(写真)を相次いで非難した。同日、マルタのタカリで撮影(2024年 ロイター/Florion Goga)

[バレッタ(マルタ) 5日 ロイター] - 米国などの西側諸国は5日、マルタでの欧州安全保障協力機構(OSCE)閣僚理事会で、2022年2月にウクライナへ侵攻して戦闘を始めたロシアのラブロフ外相を相次いで非難した。侵攻後にラブロフ氏が欧州連合(EU)加盟国を訪れたのは初めてだった。

ポーランドのシコルスキ外相は演説で、ロシア代表団に対し、「われわれはあなたたちのうそにはだまされない。あなたたちはロシア帝国を復興しようとしているが、われわれはそれを許さない」と訴えた。

ウクライナのアンドリー・シビハ外相は会議で、自国が存在する権利のために戦い続けているとして「この席にいるロシアの戦犯は知るべきだ。ウクライナはこの権利を勝ち取り、正義は勝つのだ」と語気を強めた。

ラブロフ氏の演説では、シコルスキ氏やシビハ氏らは退席してボイコットした。

一方、ブリンケン米国務長官は演説で、ラブロフ氏が退席したのを受けて「私たちの同僚であるラブロフ氏が、私たちが彼の話に耳を傾けたように私たちの話に耳を傾ける礼儀を示さずに、部屋を出て行ったことを残念に思う。そしてもちろん、私たちのロシアの同僚は誤報の津波に聴衆をおぼれさせるのが非常にうまい」と皮肉った。

ラブロフ氏とブリンケン氏の会談予定はなかった。

北米と欧州、中央アジアの計57カ国の外相や外務大臣や高官らが集まるOSCE閣僚理事会は、トランプ氏の米大統領復帰が迫っていることで影が薄くなっている。

西側諸国はウクライナへの支持を改めて表明したのに対し、ラブロフ氏は「本質的に北大西洋条約機構(NATO)とEUの付属品と化している」と昨年揶揄(やゆ)していたOSCEを改めて批判した。

ラブロフ氏は現状を冷戦になぞらえた上で、戦いが「熱く」なる危険性が高まっていると警告して「私たちは誰も攻撃したくない。米国はウクライナのネオナチ勢力を利用して私たちへの戦争を仕掛けている、私たちの領土に対して長距離まで届く武器を彼ら(ウクライナ)が使う手助けをしている」と非難した。

外交関係者によると、空席となっているOSCE事務総長にはフェリドゥン・シニルリオグル元トルコ外相が就任することで合意した。

輪番制となっている25年のOSCE議長国はフィンランドが務める。25年は、OSCE設立の契機となったヘルシンキ宣言から50年の節目となる。

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