ビットコインが8万2000ドル割れ、月間で23%下落-22年以降で最悪
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは11月の下落率が20%を超え、同業界に関連する企業の破綻が相次いだ2022年以降で最悪の月となりそうな展開だ。
ブルームバーグがまとめたデータによると、21日の取引では一時6.4%安の8万1629ドルまで下落。その後下げをやや縮小し、ロンドン時間午後0時55分時点では8万3200ドル前後で推移している。イーサは7.6%安の2700ドル弱まで売られた。
コインゲッコーのデータによると、暗号資産全体の時価総額は4月以降で初めて3兆ドル(約470兆円)を下回った。
ビットコインの月初来の下げは約25%に達し、このまま11月を終えるなら22年6月以来の大きさとなる。当時はこの前月にステーブルコイン「テラUSD(UST)」が崩壊、連鎖的な企業破綻を引き起こし、サム・バンクマンフリード氏が率いていた暗号資産交換業者FTXも最終的にその波にのみ込まれた。
トランプ政権は暗号資産を積極的に後押しする政策をとり、機関投資家の採用も進んでいる。それでもビットコインは10月上旬に史上最高値を付けて以来、30%を超える下げとなっている。
暗号資産取引では10月10日に約190億ドル相当のレバレッジポジションが強制的に清算される事態が発生。これをきっかけにマージンコール(追加証拠金請求)が連鎖的に起き、これ以降に暗号資産全体の時価総額は1兆5000億ドル減少した。
暗号資産への売り圧力は過去24時間に一段と強まり、コイングラスのデータによると、さらに20億ドルのレバレッジポジションが清算された。
オーストラリアのヘッジファンド、アポロ・クリプトのポートフォリオマネジャー、プラティク・カーラ氏は「市場全体の地合いは驚く弱い。市場には強制的な売りがあるようだが、それがどの程度まで行くのかは不明だ」と述べた。
ブロックチェーン調査会社アーカム・インテリジェンスがX(旧ツイッター)に投稿したところによると、2011年からビットコインを保有していた「オーウェン・グンデン」と名付けられた暗号資産ウォレットが、10月下旬から総額1兆3000億ドル相当のビットコイン売却を開始し、今月20日に最後の保有分を放出した。
ボラティリティーやモメンタム、需要などを基にコイングラスが算出する暗号資産投資家のセンチメントを測る指数も、22年の急落時以来の低水準に落ち込んでいる。同指数は21日に15と、投資家心理が「極度の恐怖」にあることを示している。1年前の米大統領選挙でトランプ氏が勝利した直後には「極度のどん欲」を示す94に上っていた。
この下落に、機関投資家は積極的に買い向かう姿勢を見せていない。米国市場に上場する12本のビットコイン上場投資信託(ETF)は全体で20日に9億300万ドルの純流出となり、1日としては24年1月の上場以来最大の流出額を記録した。永久先物の建玉残高も、10月のピーク時に付けた940億ドルから35%減少している。
IGオーストラリアのアナリスト、トニー・シカモア氏はリポートで、著名なビットコイン投資家であるマイケル・セイラー氏の「ストラテジー社がどこまで痛みに耐えられるのか、市場は試している可能性がある」と指摘。ビットコインがさらに下落して同社の損益分岐点に近づけば、レバレッジポジションのマージンコールがさらに発生しそうなため重大なイベントになると予想した。
20日の米株式市場でストラテジーの株価は5%下落し、保有するビットコインの価値を1とした場合の企業価値を示す指標「mNAV」は1.2に低下した。
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原題:Bitcoin Heading for Worst Month Since Crypto Collapse of 2022(抜粋)