マイクロソフトとエヌビディア、最大2.3兆円のアンソロピック投資

ソフトウエア大手のマイクロソフトと半導体設計大手のエヌビディアは、人工知能(AI)開発企業アンソロピックに最大150億ドル(約2兆3300億円)を出資する方針だと明らかにした。マイクロソフトとエヌビディアは同じくAIを開発するオープンAIにも多額の資金を投じ、支援している。

  3社による18日の発表によると、アンソロピックはマイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」から300億ドル相当のコンピューティング能力を購入することも約束した。

  クラウド事業者や半導体メーカーがAI開発企業に出資し、その資金が再び自社サービスの利用に還元される構図が増加している。こうした「循環型AI取引」に対し、投資家の間ではバブル懸念も広がっている。

  18日の米株式市場でマイクロソフトは2.7%安、エヌビディアは28%安で引けた。

  今回の提携で、アンソロピックはマイクロソフトとの関係をさらに強化する。マイクロソフトはこれまでオープンAIに130億ドルを超える出資を行い、対話型AI「chatGPT」の成功を支えた主要パートナーでもある。ただ、近年では両社の間で競合関係も表面化している。

  マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、18日に投稿した動画で「今後、私たちはお互いの顧客となる。当社はアンソロピックのモデルを利用し、アンソロピックは当社のインフラを活用し、ともに市場を開拓していく」と述べた上で、「もちろん、これはマイクロソフトにとって重要なパートナーであるオープンAIとの関係の上に築かれている」と語った。

  今回の取引はエヌビディアにとって、AIを日常生活に組み込もうとする先端企業の1つと自社技術を結びつける意味合いがある。同社はAI向け半導体の利用を拡大するため、多額の資金をエンドユーザー企業に投じている。一方で投資家の間では、AI分野への巨額投資に対し収益化が追いついていないとの懸念が強まっている。エヌビディアは19日に決算を発表する。

  株式上場企業として時価総額世界トップのエヌビディアは、最大100億ドルをアンソロピックに投資すると明らかにした。

  アンソロピックは2021年、OpenAIの元社員らによって設立され、安全性と信頼性を重視するAI開発企業としての地位を確立してきた。同社のAIチャットボット「クロード」は、金融や医療などの業界や開発者層で広く採用されている。

  バークレイズのアナリスト、ライモ・レンショウ氏は「マイクロソフトはアジュールAIの顧客層とモデル提供の両面でAI領域をさらに拡大している」とリポートで指摘。「OpenAIからの分散化は短期的にネガティブと受け止められるかもしれないが、長期的にはより健全な戦略のようだ」と分析した。

原題:Microsoft, Nvidia to Invest Up to $15 Billion in Anthropic (3)(抜粋)

(株価を終値に更新し、3社の合意に関する詳細や背景を加えます)

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