オートポリスで表彰台独占のシビック、予選での4台Q1落ちは一体何だったのか? HRCが説明「あまり悲観的ではなかった」
オートポリスで行なわれたスーパーGT第7戦は、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTが優勝。ホンダ陣営としては、待望の今季初勝利となった。車両開発を担うホンダ・レーシング(HRC)がレースを総括した。
シビック投入2年目の今シーズン、ホンダ陣営は開幕から全体的に苦しいレースが続き、第6戦を終えた段階で2位表彰台が最高位となっていた。そんな中で迎えたオートポリス戦の予選では、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTの8番手が最上位で、ブリヂストン(BS)タイヤを履く4台は11番手〜14番手に沈んで全車Q1ノックアウト。レースペースがモノを言うオートポリスでの3時間レースとはいえ、ホンダ陣営にとっては今回も厳しい戦いになるかと思われた。
しかし、蓋を開けてみれば100号車STANLEYが12番手から優勝、2位に64号車Modulo、3位に16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTと表彰台を独占する結果となった。大幅なジャンプアップには戦略など様々な要素が絡んでいるが、そもそもHRCとしても予選の結果をそれほど悲観していなかったという。
というのも、土曜の予選Q1は雨が降るか降らないか……というトリッキーなコンディション。各チームはスリックタイヤで走りながらも、いつ雨が本降りになるか分からない状況であった。そんな中ホンダBS勢は柔らかめのコンパウンドのタイヤを履いてセッションの早い段階でアタックを決めにかかる戦略をとったが、それが裏目に出てしまったのだ。
HRCのスーパーGTプロジェクトリーダーである佐伯昌浩氏はこう説明する。
「我々はBS勢の中でも柔らかい側のタイヤでした。それでQ1の途中から雨が降る予報だったので、早めにタイムを出しに行こうとしたのですが、結局雨は降らず……我々はコースを綺麗にしてあげただけで(笑)、硬いタイヤを履く他社が(セッション終盤に)ぽんぽんとタイムを出したという状況でした。だからあまり悲観的ではありませんでした」
そのため、決勝に向けては手応えがあったという佐伯氏。決勝レースを次のように総括した。
「昨日は午前中(公式練習)からすごく調子が良くて、フルタンクでロングランを走ってもかなり良いペースで走れていました。今日ドライタイヤでスタートする場合、路面温度が低い状態からスタートすれば、我々に勝機があるんじゃないかと思っていましたので、落ち着いて燃費のケアをして、ピットのタイミングでうまく順位を上げるレースができればと事前にミーティングしていました」
「まさにその通りにまとめ切れたレースになったかなと思います。特に100号車はふたりとも非常に燃費の良い走行をしていました。このレースは燃費レースの傾向が強まっている中、それをしっかりこなしてくれた100号車が1位になりました」
「今年はなかなか勝てませんでしたが、うまくいく時はこんなにうまくいくんだなと(苦笑)。来年から車両がプレリュードに変わりますが、100号車はトップと8.5ポイント差になりましたので、最終戦もしっかりチャンピオンを取りに行くレースができればと考えています」