タイトルも射程圏に! STANLEYシビック、12番手から大逆転勝利の要因はズバリ戦略「2回目のピットストップが大事だと把握していた」

 スーパーGT第7戦オートポリスは、誰もが予想だにしないような展開となった。フロントロウからスタートしたのは日産のNISMO勢、レース序盤を優位に進めたのはトヨタのTOM'S勢、しかし結果的に表彰台を独占したのはホンダ勢……優勝は12番グリッドの100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTだった。

 レース折り返し時点では10番手付近にいたSTANLEYがなぜトップに浮上できたのか? そこには見事にハマった戦略判断があった。

 2回のピットストップが必須となる今回のレースにおいて、STANLEYは山本尚貴が最初のスティントを担当し、牧野任祐が第2、第3スティントを担当。その中で彼らは、第1、第2スティントをできる限り長くし、最終スティントをできるだけ短くするという戦略を採った。つまり、そうすることで最後のピットストップは給油時間を短くすることができる。

 各車が最後のストップに向かう前のレース中盤、GT500はSTANLEYとは対照的に1回目のピットストップを早めに行なった(つまり1回目のピット作業時間が短かった)38号車KeePer CERUMO GR Supraがトップに立ち、集団を押さえ込む格好となっていた。38号車のペースは芳しくなく、蓋をされる形となったGT500各車のギャップは一気に縮まった。そんな状況下で、最後のピット時間がライバルより短かったSTANLEYは、一気にレースリーダーに躍り出ることができたというわけだ。

 山本も、3時間レースは2回目のピットストップが非常に重要であるとチームは認識しており、それが今回の戦略に繋がったと語った。

#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT

写真: Masahide Kamio

「オートポリスだからというわけではありませんが、過去の3時間レースを振り返ってみても、仮に1回目のピットストップで前に出られたとしても、2回目のピットストップがかなり大事だということはチームとしても把握していました」

「1回目のピットストップを終えて牧野選手が合流した時にはかなりポジションが下がっていたので、結構辛いのかなと思っていましたが、展開にも恵まれましたね。38号車(KeePer)は少し早めに入っていてタイヤも苦しかったでしょうし、ペースの上がらない彼らが蓋をしてくれたことで、ギャップもどんどん縮まりました」

「他人のクルマの後ろにつくとなかなかペースが上げられないのですが、タイヤが少し新しいとはいえ(牧野が)バンバン抜いてくれて、前の集団に追いついたのもハイライトだったと思います」

「そしてGT300の車両がピットロード出口で止まり、セーフティカーが出てしまうかもしれないということでみんな予定より早めに入っていましたが、そこでステイアウトしてくれたことによって、牧野選手はタイヤが一番新しい状態で3スティント目を走れました。本当に全てがうまくハマったレースだと思います」

 レースの半分以上の距離を走って勝利に貢献した牧野も「本来の僕たちらしい、TEAM KUNIMITSUらしいレースができた」と語る。さらに「尚貴さんとまた優勝できて嬉しいですね。一時はどうなるかと思いましたが、嬉しいです」と笑みをこぼし、山本が2023年の大事故から復帰して以来初めての勝利を喜んだ。

 レース前はタイトル争いに生き残るのも難しいのではと見られていたSTANLEYだが、今回の勝利により山本と牧野はポイントランキング3番手に急浮上。トップの坪井翔、山下健太組(1号車au TOM'S GR Supra)とは8.5ポイント差であり、もしSTANLEYが最終戦で優勝した場合はau TOM'Sが3位以下で逆転タイトルが決まるシナリオ。十分、射程圏にあると言える。

 牧野も「ここに入るまではタイトル争いのことを1ミリも考えていなかった」として、今季初優勝を決めた今も「正直あまり意識していないです。とにかくもう1勝、2勝目を飾れるよう頑張りたい」と意気込む。

 また山本は、3連覇のかかるau TOM'Sの強さを肌で感じていることから「そんなに一筋縄ではいかないのは重々理解していますが……」と前置きし、「ホンダファン、STANLEY TEAM KUNIMITSUファンの皆さんの期待を持っていただくためにも、ふたりでやるべきことをやるだけです。たくさんの人にサーキットやテレビで応援して欲しいです」と会見を締め括った。

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写真: Masahide Kamio

 
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