ゴールドマン・サックスによると、AIはすでに若いテック労働者の失業率を押し上げている(海外)(BUSINESS INSIDER JAPAN)

AIはアメリカの労働市場の形を変えており、若い技術系労働者に大きな影響を与えている。テック部門の雇用は2022年11月がピークで、ChatGPTが登場してから減少した。ゴールドマン・サックスは、AIがアメリカの労働者全体の6~7%を失業させると予想している。 AI(人工知能)がアメリカの労働市場の形を変えている。そして、若い技術系労働者たちはその矛先が、自分たちに向けられているように感じている。 「AIが、データにおいて目立ち始めているのは事実だ」とゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のチーフ・エコノミスト、ヤン・ハッチウス(Jan Hatzius)は2025年8月4日のメモに書いた。 ゴールドマン・サックスの分析によると、アメリカ求人市場におけるテック部門のシェアのピークは2022年11月、つまりChatGPTが発表された時で、それ以降は長期トレンドを下回っている。 その影響が特に著しいのは、若い技術系労働者だ。テック業界における20~30代の失業率は、2024年初め以来、3ポイント近く上昇しており、全体の失業率の4倍以上となっている。 この急増は、生成AIがホワイトカラー職、特にキャリアの浅い労働者たちを、失業させ始めていることを示す兆候だ。 「これはまだ、アメリカの労働市場全体のごく一部だが、最終的には生成AIがアメリカの労働者全体の6~7%を失業させると我々は見積もっている」とハッチウスは書いた。 ゴールドマンは、この変化が今後10年で起こると予想している。同社は、他の業界が多くの失業者を吸収するため、失業率への影響は「管理可能な」0.5 ポイントにとどまると予測している。 アメリカの労働市場弱体化への懸念が強まる中、このレポートは発表された。 アメリカ労働統計局(Bureau of Labor Statistics)が8月1日に発表したデータは、アメリカ経済が7月に増やした雇用がわずか7万3000件で、エコノミストたちが予想した10万6000件には遠く及ばなかったことを示している。さらに、5月と6月の雇用者数も大幅に下方修正された。 「8月1日の雇用統計は、アメリカの成長が失速に近づいているとの見方を補強した。このペースで下がると労働市場は悪循環に陥って、さらに弱体化するだろう」とハッチウスは書いた。 AIの影響のほかに、より大きく短期的な問題をハッチウスは指摘した。関税の引き上げを一因とするアメリカの生産成長の減速だ。 ゴールドマンは今年前半の実質GDP成長率を、年率換算で1.2%だったと見積もっている。後半も「同様に遅いペース」を予想しているとアナリストたちは書いた。 「金融状況の緩和と景況感の回復が成長をサポートするはずだが、実質可処分所得と消費者支出の成長は遅れそうだ。それは雇用が衰弱しているからというだけでなく、関税から消費者物価への転嫁による影響のほとんどがまだ先のことだからだ」とハッチウスは書いている。 テック界のリーダーたちは、AIによって雇用が激減すると警告している。5月には、アンスロピック(Anthropic)のダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOが、AIは今後5年で、ホワイトカラー職のエントリーレベルの仕事の50%を消滅させるかもしれない、と述べた。

Huileng Tan

BUSINESS INSIDER JAPAN
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