米小売売上高、9月は予想下回る0.2%増-個人消費の勢い失速
9月の米小売売上高は小幅な増加にとどまった。過去数カ月にわたって堅調な個人消費が続いた後、一部で買い控えの動きが出ていることが示唆された。同統計は政府機関閉鎖の影響で公表が遅れていた。
キーポイント- 米小売売上高は前月比0.2%増
- 市場予想の中央値は0.4%増
- 前月は0.6%増
- データはインフレ調整を加えていない
自動車とガソリンを除いた小売売上高は0.1%増加した。
13業種のうち8業種で増加。ガソリンスタンドや健康用品店、その他小売りなどがけん引した。一方、自動車の売上高は4カ月ぶりに減少した。電気製品や衣料品、スポーツ用品店もマイナスとなった。
個人消費は7-9月(第3四半期)を通じて底堅かったが、終盤に勢いがやや鈍った。株式相場上昇の恩恵を受ける富裕層が全体の支出を支えた一方、低所得層には逼迫(ひっぱく)の兆しも見られる。物価上昇や雇用市場の軟化を背景に、多くの消費者が慎重姿勢を強めており、消費者マインドは過去最低近辺に沈んでいる。
こうした所得格差は、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者の大きな関心事となっている。同当局者の間では来月の会合で追加利下げに踏み切るべきかを巡って意見が分かれている。市場では、12月利下げの可能性は高いとの見方が引き続き優勢だ。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、ティム・クインラン氏は、予想をわずかに下回った今回の統計について「年末商戦や個人消費の見通しを崩すものではないが、10-12月(第4四半期)がやや低調となる可能性を示している」と述べた。
アフォーダビリティー(暮らし向き)への不安が広がる中、ウォルマートやTJXといった小売企業は消費者が割安な商品を求めていると指摘している。米ホームセンター最大手ホーム・デポは、消費者が住宅関連で大型購入を見送っていると警戒感を示した。
米信用調査会社トランスユニオンによると、消費者の半数超は今年のホリデーシーズンの支出について前年と同程度かそれ以上になると見込んでいる。ただし、これは物価上昇を反映している面もあるとみられる。関税の影響で、一部企業はブラックフライデーセールの値引き販売を縮小せざるを得ない状況だ。
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消費者の外食意欲は9月も続いた。小売売上高で唯一のサービスカテゴリーである飲食店は0.7%増加した。
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(コントロールグループ)は0.1%減少し、5カ月ぶりのマイナスに転じた。
9月の小売売上高は当初10月16日に公表の予定だった。統計発表元の商務省国勢調査局は25日、次回の公表日程はまだ決まっていないと明らかにした。
小売売上高のデータはインフレ調整していないため、支出の増加は需要の強さというよりも物価上昇の影響を反映している可能性がある。また、これらの数字は家計支出全体の約3分の1を占める財の購入をおおむね示している。インフレ調整後の財とサービスの支出をより包括的に示すデータは、12月5日に公表される予定だ。
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統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Retail Sales Lost Steam in September as Shoppers Pulled Back (3)(抜粋)
— 取材協力 Chris Middleton and Jarrell Dillard