ブラックロック、米国株が対欧州株で近く優位性取り戻すとの見通し
ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)のジャン・ボアバン氏は、欧州株の明るい見通しは防衛や銀行などの部門に限られているとして、米国株が近く、欧州株に対する長年の優位性を再び取り戻すとの見通しを示した。
ここ数年の傾向とは逆に、ストックス欧州600指数は今年1-3月期、ドル建てでS&P500種株価指数を記録的なパフォーマンスで上回っている。ウクライナでの停戦合意への楽観的な見方と、ドイツが防衛・インフラ支出増加のため、財政拡大政策へ転換したことなどを背景に、防衛関連株が過去最高値を更新したことが主な要因だ。ストックス欧州600銀行株指数も、堅調な収益を背景に、今年に入って28%上昇している。
ボアバン氏はインタビューで「今後6-12カ月の期間で、米国よりも欧州の方が優れているという確信はまだない。防衛以外の分野でもっと財政的な刺激策が必要であり、その実施が鍵となる」と述べた。
一方の米国では、景気減速の兆候とテック大手の高い評価額に対する疑念が、市場を混乱させている。トランプ米大統領が主要貿易相手国に対し「相互関税」を発動するとしている4月2日を前に、世界的にボラティリティは上昇している。
ボアバン氏は、米国株市場は「多少の関税が存在する世界でも乗り切れる」と述べ、関税に関する不確実性が解消されれば、米国の収益見通しの下方修正は短期間で終わるとの見方を示した。同氏は「10%の関税が適正な着地点になる可能性が高いと考えている。米国はそれに適応できるだろう。ただ、それ以上の関税が課された場合は話は別だ」としている。
同氏の見解は、UBSグループやシティグループなどの予測とは異なる。UBSのチーフストラテジスト、バヌー・バウェジャ氏は今週、消費の低迷が企業収益を圧迫し、S&P500種株価指数がさらに8%下落すると予想した。また、シティグループのベアータ・マンシー氏は、昨年10月時点で欧州の株価上昇を予測していたが、さらなる上昇を見込んでいる。
ボあバン氏は欧州株に対しては中立的な推奨を行い、戦術的には米国株をオーバーウエートとしている。
同氏は「今、最も重要なのは、不確実性がまひ状態を引き起こす可能性があるということだ。関税の正確な内容が明らかになれば、一部の部門に悪影響、他の部門には好影響を及ぼす可能性があるが、市場はそれに対応していくだろう」と述べた。
原題:BlackRock’s Boivin Sees US Stocks Outshining European Equities(抜粋)