SpaceXのロケット破片に相次ぐ批判。失敗は続くよどこまでも

Image: Evan El-Amin / Shutterstock.com

これだけ続いたら黙っていられなくなるわね…。

ここ数年でSpaceX(スペースエックス)の試験飛行が相次いで失敗し、爆発事故まで起きているなか、隣国メキシコはついに堪忍袋の緒が切れたようです。

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、SpaceXのロケット打ち上げの際に国境を越えて飛散する破片による環境汚染の可能性をめぐって、訴訟も辞さない構えを見せています。

破片飛散による汚染は国際法違反として提訴の可能性

シェインバウム大統領は6月の記者会見で、「汚染は確実に存在しています」と記者団に述べました。大統領はSpaceXが国際法に違反している可能性について調査を進めており、訴訟を起こすかどうかを検討しているとGuardianが報じています

6月中旬、テキサス州南部にあるSpaceXのスターベースで、同社のスターシップが大規模な火球を伴う爆発を起こしました。

この爆発事故は、地上燃焼試験に向けての準備作業中に突然発生したもので、破片が四方八方に飛び散りました。同社は近隣住民に対する脅威はないと報告しましたが、安全対策を講じているあいだは現場に近づかないよう市民に呼びかけました。ちなみに、スターベースはメキシコの国境近くに位置しており、最寄りのメキシコの町マタモロスまでは約13kmしか離れていません。

失敗は続くよどこまでも

この事故は、スターシップの相次ぐ失敗の最新例に過ぎません。今年5月の第9回飛行試験では、液漏れが原因で制御不能に陥って再突入時に機体が空中分解、3月の第8回飛行試験では、ロケットエンジンの1基でハードウェアに故障が発生して離陸後数分で飛行試験が中止に。スターシップは空中で爆発し、アメリカ連邦航空局(FAA)はフロリダ州の一部を飛行禁止にする事態になりました。

2024年1月の第7回飛行試験では、推進システムの予期せぬ振動によって推進剤の漏えいと火災が発生。ロケットは離陸後数分で分解し、カリブ海の島々に破片が降り注ぎました。ここまでくると、もはや打ち上げ花火のようです。

国境を越える環境汚染の懸念

SpaceXがあるテキサス州ボカチカでは、地元の環境保護団体が、周辺の野生生物の生息地に脅威をもたらしているとして同社を非難しています。

一方、国境を挟んだメキシコのタマウリパス州では、環境影響に関する「包括的な調査」が実施されているといいます。

本格的に運用が始まったわけでもないのに、問題だらけのスターシップ。いつになるかわかりませんが、もしも試験に合格して実用化されれば、スターシップはテキサス南部の施設から年間25回の打ち上げ目指しているのだとか。

試験にパスしてから飛ばすんだから、とんでもない数の破片が周辺に飛び散るようなことにはならない…はず……ですよね?

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