米FRB、金利据え置きで時間確保へ-トランプ氏の政策の影響評価

米金融当局は28、29両日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、政策金利据え置きを決める見通しだ。インフレ抑制でさらなる進展を目指すとともに、トランプ大統領の政策が経済に及ぼす影響を評価するためのさらなる時間を確保する。

  米東部時間29日午後2時(日本時間30日午前4時)に決定内容を盛り込んだ声明を発表し、2時半からパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見する。金融当局は昨年9月から3会合連続で計1ポイント利下げし、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは現在4.25-4.5%となっている。

  米経済の底堅さや根強いインフレを示すデータを受け、当局者の一部は今年の利下げ回数が少なめになるとの見方を示している。31日には金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数の発表が予定されている。

Progress toward the Fed's goal appears to have stalled in late 2024

Source: Bureau of Economic Analysis

  ただ、一連の予想外のデータに加え、貿易や税制をはじめとするトランプ氏の施策に経済がどのような反応を示すか不透明であることを背景に、当局者が特定の金利の道筋にコミットする公算は小さいと考えられる。

  EYのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は金融当局について、「利下げを見送る一方で、FF金利調整のための選択肢をできる限り確保したい考えだろう」と指摘した。

  パウエル議長に対しては、トランプ氏の政策や計画を金融当局としてどのように経済見通しに織り込んでいるのか、記者団からの質問が予想される。

  またEYのダコ氏によれば、景気の加速も減速も招かない中立金利について、投資家はパウエル議長にさらなる説明を望んでいる。米当局者は過去1年余りにわたり中立金利の推計を上方修正してきた。

  現行の政策金利が中立金利に近づいていると、当局者の多くが認識している場合、先行きの追加利下げのペースが減速するだけでなく、回数も減ることを示唆する。

Higher estimates point to fewer future rate cuts in this cycle

Source: Federal Reserve

  トランプ氏は23日、 パウエル議長と米金融当局について、「彼らよりも私の方が金利に関してはるかに詳しく、その判断に当たる主な責任者よりも私の方が熟知しているのは確かだ」と述べた。 

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  パウエル氏はこれまで、金融政策を巡るトランプ氏の発言をかわすか無視してきた。しかし、2期目就任直後の大統領のこうしたコメントは、パウエル氏が新政権からの一段と強力な圧力に直面する可能性を示唆している。

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原題:Fed to Hold Rates Steady and Brace for Trump: Decision-Day Guide(抜粋)

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