ロシア原油価格が急落、2年半ぶり安値-主要石油2社への米制裁が圧迫
- 黒海主要港で1バレル=36.61ドル、ブレント原油に比べ大幅割り引き
- 米国は取引停止期限を11月21日に設定、中印トルコの一部は既に実行
ロシアの代表的油種であるウラル原油の価格は先週、2年半ぶりの低水準に落ち込んだ。同国の石油大手2社との取引を停止するよう米国が定めた期限は数日後に迫っている。
黒海に面するロシアの主要石油輸出拠点であるノボロシースク港で取引されるウラル原油は13日に1バレル=36.61ドルと、2023年3月以来の安値を付けた。コモディティーの市場価格を公表しているアーガス・メディアのデータによると、バルト海沿岸の輸出拠点で取引されるウラル原油も、同様の傾向をたどっている。いずれの価格も14日には小反発した。
この価格急落でロシアの石油会社は財務が圧迫され、政府に対する納税額が減る。石油・ガス関連の収入はロシアの歳入全体の約4分の1を占め、政府がウクライナでの戦争を継続する上で重要な財源となっている。
ロシアの主要な石油会社2社、ロスネフチとルクオイルを米国が10月22日に制裁対象に加えたと発表して以来、国際市場におけるロシア産原油への需要は急減。米国は両社との取引を打ち切る期限を11月21日に設定したが、中国やインド、トルコの一部製油会社は既に両社からの原油購入を停止し、代替の供給源を模索し始めた。
一方、この制裁発表以降、世界の代表的な輸出に対してウラル原油は大幅なディスカウントで取引されるようになった。アーガスのデータによると、黒海、バルト海で取引されるウラル原油のブレント原油に対するディスカウントは先週末でバレル当たり平均23.52ドルに達し、23年6月以来の大きさとなった。
原題:Russian Oil Plunges With Top Producers Days Away From Sanctions(抜粋)
— 取材協力 Alaric Nightingale and Ben Bartenstein